プラスチック爆弾や青酸ガスライターといった、スパイ映画には付き物の小道具が物語の伏線になっているのも都筑道夫・岡本喜八の脚本の妙だ。
火のついたマッチを空のドラム缶に投げ入れドラム缶が次々と空中に舞い上がるという、敵のアジトでの逆転劇は、ドラム缶の中に残った気化したオイルを利用した作戦であったとの事。脚本の段階では手塚部長刑事(有島一郎)が、沢田ユミ(浜美枝)に、この作戦の説明をするシーンがあったというが何故かカットされてしまったようだ…。
また、ワールドワイドな映画のようだが、実の所海外ロケは一切なく、フィリピンの島は伊豆の下田、フィリピンの警察は横浜の日米会館。国際秘密警察シリーズのオープンセットも堂々と流用している。
さらに、ポスターに写っているアンドリュー星野こと宝田明が手にしているライフル銃は、脚本の岡本喜八が、当時、三船敏郎から貰った本物のライフル銃マーリン。
映画のクライマックスでアンドリュー星野が、その銃を使った後(もちろん格好だけで、実際には撃ってはいないが…)、横にとびでた薬莢を右手でパッとつかみ、キスをしてポケットにしまうという粋な仕草を見せるが、この仕草の元ネタは東京オリンピックのライフル競技で、外国の選手が実際にやった事によるものらしい…。(※ナイスな解説が満載の東宝ゴクラク座LDシリーズ購入特典「ゴクラク読本」による)
音楽は佐藤勝。デビュー仕立ての布施明の唄う主題歌も、60年代のスパイ活劇風の雰囲気があってなかなかカッコいい(…シャボン玉ホリデーで歌っている映像はこのLDで見られる→)。
1968年3月には、続編「100発100中
黄金の眼」も製作されたが、こちらは未LD化。(2005.03.12時点)
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