第30回(2007.9.15更新)

「24-TWENTY FOUR シーズン6」 ジャック・バウアーの歌。
その面白歌詞の真実に迫る!(シーズン6のネタバレは無し)

とことん追い込まれ、追いつめる、怒涛の24時間、全24話。いよいよシーズン6に突入!
元CTU テロ対策ユニットの特別捜査官。正義感が強く、任務を遂行するためには手段を選ばない男、そう、あいつ、ジャック・バウアーが囚われの中国から帰ってきたのだ。

地獄をみた男ジャックを待っていたものは、ジャックの身柄と黒幕を交換条件としたテロリストの卑劣な罠であった…!
というわけで怒涛のシーズン6!巷に流れるのはDVDレンタルリリース予告CMの「ジャック・バウアーの歌」。その面白歌詞の分析だ!(唄うは、ジャックの声優小山力也。)

1.オレはジャック・バウアー、つねに大ピンチ♪
オレはジャック・バウアー、なんだか〜んだ死なな〜い♪


クリフハンガーの頂点を極めた「24-TWENTY FOUR」は、つねに大ピンチの連続。そして、これをどのように切り抜けるのかが最大の見所となる。
アクション物最大のピンチは“ヒーローの死”というシチュエーションだが、「24-TWENTY FOUR」でもシーズン5までにジャックの死という大ピンチを2回設定している。一つ目はシーズン2の午前2時59分の拷問を受けている時、二つ目はシーズン4のラスト、偽装死による仮死状態の時だ。そしていずれもエピネフリン(アドレナリン)と心臓マッサージで間一髪生き返っている。海外ドラマのヒーローは視聴率が高い限りは決して死なないのだ。
ちなみにこのCMの歌詞が流れる撃たれてもすぐに立ち上がるシーンは、防弾チョッキによる復活である。

2.オレはジャック・バウアー、キレやすい男さ♪
オレはジャック・バウアー、意外と泣き虫〜♪


確かに短気で"超キレやすい男"だが、自らをキレやすく危険な男だと、わざと誇示しているという演技説も有力だ。その証拠にシーズン3のラスト、子供のようにオイオイと大泣きする名シーンがあり、本当は優しい男でかなりの無理をしているという事がわかる。
本当のジャックの優しさを知る者は、自らを押し殺し非情に徹し切るジャックに真のヒーローを見るのだ。

3.オレはジャック・バウアー、吐かねえ野郎は♪
オレはジャック・バウアー、怒鳴るぜ、近距離で〜♪


自らの経験に基づく直感で動く男、ジャック。敵を威圧するために顔面すれすれで怒鳴るなどは当たり前の事だ。24時間という限られた時間内では"落としの山さん"のような悠長な事はしていられないのだ。シーズン4の午前7時58分頃には、テロリストの口を割らせるために足を撃ちぬいて脅すシーン、またシーズン5の午後5時52分過ぎには、ジャックのかつての上司ヘンダーソンの口を割らせる為に、横にいるヘンダーソンの妻の足を撃って供述を迫るといった凄いシーンも見られる。さらにシーズン2の午前8時45分過ぎには、尋問と見せかけ、有無をいわさず殺してしまうというシーンもある(こちらは、吐かせる事が目的ではなく、潜入捜査の手みやげ用にそいつの首を利用するためだったが…)。
しかし、そんな強引なジャックにもシーズン6では中国でのトラウマが原因か、迷いがみえるようなのだが…。

4.オレはジャック・バウアー、指図は受けな〜い♪
オレはジャック・バウアー、そして、みんな〜巻き添え〜♪


結果は求めるが手を汚さない官僚主義の上司の意見はまったく無視する孤高のヒーロー、ジャックだが、出来る上司や部下には、絶対の信頼を得ている。
しかし、ジャックはシーズンごとにキャストを更新するように動かされているので、しかたなく巻き添えにしてしまうのだ(実際に巻き添えにしているのはテロリストなのだが…)。
それよりも、ここ最近出番の無いジャックの娘キムの方が、巻き込みお騒がせ度はジャック以上。現在、シーズン1から主演級で生存・活躍しているのは、ジャックの他には娘のキンバリー・バウアーのみではなかったか?

5.オレはジャック・バウアー、ピンチには強いぜ♪
オレはジャック・バウアー、娘には弱いぜ〜♪


人情味あふれる頑固親父風だったりもする所が、ジャックの魅力的な部分でもある。
シーズン1で、娘の母親であり妻であるテリーが自分の過去の任務に絡んだテロ事件で殺されてしまうが、ジャックはそれを自分のせいだと悔いている。母親の死という深い傷を最愛の娘に負わせてしまったという、この後悔こそが娘に弱い最大の理由だ。
これは裏返せば、ジャックの人一倍強い責任感の現われなのだが…。

6.オレはジャック・バウアー、不死身な男さ♪
オレはジャック・バウアー、時々、のびちゃ〜う〜♪


シーズン2では午後4時過ぎ、飛行機もろとも墜落したが奇跡的に助かっている。まさに不死身だが、意外と不意打ちに弱いのか?…。
しかし、気を失ってはいるが、実はこの間に体力温存か寝ているとも推測される。
また、シーズン4の午後8時30分過ぎのノビなどは、情報を聞き出すための作戦でもあった。あらゆる手を使うのがジャックなのだ。

7.オレはジャック・バウアー、電話代がすご〜い♪
オレはジャック・バウアー、でも、経費で落ちるのさ〜♪


24時間という限定された時間内で、これだけの内容を展開させる事を可能としたのは携帯電話やPDAといった情報端末や、衛星や現場からのモニター映像技術のめざましい発達であろう。
どこにいようと、リアルタイムに情報を入手分析し判断するジャック・バウアーの姿こそが、後のアクション&サスペンスドラマに大いなる影響を与えたのだ。
印象に残る所では、シーズン4の午前7時30分頃、クリーニング屋(だと思うが…)に隠れたテロリストを、現場からのモニター映像でCTU司令室にいながら的確な指示をだすジャックの判断のよさや、シーズン5の午前9時42分過ぎ、空港内に隠れたジャック、突入を図ろうとする戦術チームとCTU、そしてテロリストの緊迫したやりとりを描いたオンタリオ空港での人質テロのシークエンスなどに、ジャックのその情報分析力の凄さを見る事ができる。

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これらの歌詞は30パターン近くあった中から厳選されたものとの事だが、どれもカリスマ的なジャック・バウアーの魅力に迫る、なかなかツボをえた歌詞である。
コミカルな歌詞とミスマッチな映像の面白さは、前回シーズン5のDVDレンタルリリース予告CMの延長線上にあるものだろうが、人気シリーズ「24-TWENTY FOUR」制作スタッフの心憎いばかりの余裕が感じられる。
シリアスの裏返しにあるものは大いなるコメディ。シリアスであればあるほど悲しければ悲しいほど、笑いに転じた時の効果が増すのである。例えば、お葬式の最中に足がしびれてスッ転がる、などはお笑いの基本中の基本であるが、ジャック・バウアーといえば、誰もが眉間にシワを寄せて突っ走る姿を思い浮かべるのだから、そのギャップがたまらなく可笑しく感じるわけだ。これもシーズンを重ねてますます人気を高めていく本作「24-TWENTY FOUR」に自信を持っているからこそ出来る事なのであろう。
ジャック・バウアーことキーファー・サザーランドの契約はシーズン8まで残っているようだが、眠れぬ夜の楽しみは、これからもまだまだ続きそうだ…。

ちなみにカロリーメイトとのコラボCMも記憶に新しいが、カロリーメイト以外のジャックの食事シーンは、シーズン1の午後1時42分過ぎ、CTUの取調室にて尋問を受けるジャックがランチ弁当のようなものをせわしなく食べるシーンと、シーズン5の冒頭午前7時21分過ぎ、ベーコンとパンケーキらしき朝食を、潜伏先近くの家で食べるという2シーンだけではないだろうか…。

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