そして、最近でも透明人間をテーマにして強い印象を残したバーホ−ベン監督の2000年、新作「THE
HOLLOW MAN/インビジブル」もまた科学の犠牲者である。
姿が見えなければ殺人や盗みは思いのまま…
人間の本質は、果たして悪か?というテーマを軸に、驚異のCG映像で繰り広げられる、そのインパクトあるビジュアルが凄い!小説などでは決して表現できない映像だからこそのビジュアルショックは、映画とは見せる物であるとあらためて感じさせる。
このバーホ−ベン監督の透明人間には、死んだ人間が変身させられてしまったヒーロー「ロボコップ」(1987年)のような後に残る悲しさはない…。
しかし、人間の本性は悪であると言いきるバーホーベン監督の、悪魔のささやきに弱い人間だからこそ逆に強く生きていかなければならないという逆説的人間愛を、ここに見る事ができる。
誰しもが思い浮かべる包帯、黒眼鏡という透明人間の容姿で有名な1933年のオリジナル版「透明人間」(ジャケットはここをクリック)は、H・G・ウェルズの原作通りに薬品の副作用で凶暴化していくという設定であったが、バーホ−ベン監督は薬品の副作用というより、姿が見えなければ何でも思いのままになると考える人間の本性をあらわにする事の方に重点を置いている…。
透明化人体実験で元に戻れなくなったセバスチャンもまた、やはり科学のゆがんだ進化にのみこまれてしまった犠牲者である。 |