新人監督 清水崇により1999年にオリジナルビデオムービーとして製作された「呪怨」(じゅおん)。
監修は「リング」の脚本高橋洋。ビデオリリースされるやいなや、じわじわとその怖さが口コミやネットで広まり、そのあまりの評判に2000年3月には限定劇場公開された。そして来年2003年1月には映画版が製作公開され、合わせてオリジナルビデオ版もいよいよ1月24日待望のDVD化が決定!
清水崇監督は、中田秀夫監督らが「リング」等で創りあげた恐怖演出を踏襲しつつ、さらに一味違った独自の恐怖テイストを加えている。ひとつ間違えると、遊園地のお化け屋敷にありがちなこけおどしのお化けを、思わせぶりな静かなカットと、抜群のタイミングで、そのものズバリと描写するのである。
物語の発端は、東京練馬区のとある一戸建て「佐伯家」で起こった、主人「佐伯剛雄」が起こした妻「伽椰子」へのおそらく嫉妬などによる一家惨殺事件と推測されるが、劇中でははっきりとは語られない…。
それは、「伽椰子」に、大学時代から想われていた、今では息子「俊雄」の小学校の担任でもある「小林俊介」(柳ユーレイ)が、「佐伯家」を家庭訪問で訪れるエピソードで説明されていくのだが、何も知らず家庭訪問に訪れた担任「小林俊介」が見つける「伽椰子」の自分に対する偏執狂的な想いを綴った日記。
天井裏に隠されたビニールのゴミ袋に包まれた「伽椰子」の死体。
恐怖に混乱した小林の携帯にかかってくる「剛雄」からの電話の内容といった、それら断片的な内容からのみおよそ理解されるに過ぎないのである。
そして、「パルプ・フィクション」「メメント」を思いおこさせる時間軸を無視した展開で、ただひたすら不安感と直接的な恐怖描写で不条理な心霊現象を描くのだ。
「伽椰子」と息子「俊雄」の怨念は家に残り、この家に関わりをもった者は呪われ、また呪われた者を媒介として増殖していく。まるで映画を見ている私たちもその呪いに引きずり込まれていくような、まさにそんな感覚を体験するのである。
■呪怨 |
●「俊雄」 |
事件の発端「佐伯家」の一人息子「佐伯俊雄」小学生 |
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●「由紀」 |
事件後「佐伯家」に引っ越してきた「村上家」長女の家庭教師「由紀」 |
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●「瑞穂」 |
「村上家」の長男「強志」の恋人「田村瑞穂」 |
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●「柑菜」 |
「村上家」の長女「村上柑菜」 |
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●「伽椰子」 |
「佐伯家」の妻「佐伯(旧姓川又)伽椰子」。主に教師「小林俊介」のエピソード |
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●「饗子」 |
変死・行方不明となり空家となった「村上家」を売買する不動産屋「鈴木」の妹「鈴木響子」
※心霊予知能力がある |
■呪怨2 |
●「伽椰子」 |
再び「佐伯(旧姓川又)伽椰子」 |
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●「饗子」 |
再び「鈴木響子」 |
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●「達也」 |
主に不動産屋「鈴木達也」のエピソード。鈴木の「実家」が巻き込まれるエピソードと、新たに引越してきた「北田家」と鈴木のエピソード |
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●「神尾」 |
この一連の事件を追っていた「吉川」刑事と同僚だった「神尾」刑事 |
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●「信之」 |
不動産屋「鈴木」の一人息子「鈴木信之」 |
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●「沙織」 |
空家となった「家」にいたずらで忍び込んだ女子学生(?)「沙織」 ※エピローグ |
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これらのエピソードがもたらす恐怖はクライマックスが近づけば近づくほど、見る者の脳裏でもつれあい共鳴する。
そして「呪怨2」へと引き継がれていく容赦の無い呪い。必ず1と2を続けて見るべし!
ちなみに「学校の怪談G」内の短編、ウサギ小屋のエピソード「片隅」と「4444444444」は、
「呪怨」の別エピソードとして発表されている。こちらも合わせて要チェック。 |