※BOXセットのみ“役者やのォー”薬痴寺先輩の青春「嗚呼!! 花の応援団」なぎら健壱特別寄稿 &貴重なスチール満載の32ページフォトブック封入
2010年6月8日(火) 日本映画専門チャンネルHV放送 (放送当時)左右ブツ切りトリミング、ボケボケのVHSテープのみのリリースだった「嗚呼!!花の応援団」実写映画版が、オリジナルシネスコ、ピカピカのハイビジョン映像で蘇った。
おとこ、なにわの南河大、南河内大学応援団! どおくまん原作 1975年“週刊漫画アクション”連載の大ヒット漫画「嗚呼!!花の応援団」、実写映画版。 物語の舞台となる応援団とアクの強い登場人物を手際良く紹介するクレジットタイトルロールまでの冒頭約10分間のつかみは、かなり出来が良い。
南河内大学応援団本部親衛隊隊長・青田赤道をはじめ、団長・木村、副団長・下村、統制部長・小川、リーダー長・柏原の四バカ幹部(※原作では三バカ幹部だが映画では四人)。実質的な主役でもある新入団員の富山と北口などの容姿も原作漫画のイメージに近く、実写化作品成功のポイントともいえるキャスティングにおいて、まず成功していると感じる。 きれいなネーちゃんが大好きで精力絶倫、喧嘩がめっぽう強く無敵、一度切れると敵味方の区別なく凶暴になるという青田赤道の暴れっぷりと、理不尽な要求で下級生を困らせ、シゴキと称して暴力をふるう四バカ幹部が、青田や敵対するライバル大学にやられてしっぺ返しをくうさまが、マンガチックにコミカルに展開される。 そして、その合間に描かれるのが、一回生の富山と北口、二回生小林に代表される下級生団員の悲哀、富山と薄幸の娘初江(水原ゆう紀)との切ない恋の顛末などで、こちらもお下劣ギャグと人情話のバランスが絶妙だった原作漫画を再現しようとした気配がうかがえ好感がもてる。 特に、初江が体を売りながら涙で聞く富山の応援コールは、原作漫画のエッセンスを巧く活かした印象深いラストであった。 青田赤道と父親玄道の妾、新子(宮下順子)との映画オリジナルのエピソードの描かれ方がやや中途半端で、もう少し丁寧に情緒深く描かれていれば、という気もするが、この新子と青田赤道のエピソードは昭和シリーズ3作を通してのサブストーリーとなっていく。
「嗚呼!!花の応援団」映画版は興行的にも成功し、後にシリーズ化され日活では全三作、1996年には東映で平成版一作が作られる事となる。
過去2作品で統制部長の小川を演じていた本間進が、三代目青田赤道として登場する昭和シリーズ最終作。 幹部の配役が変わった事により、統制部長の小川は、リーダー長柏原役だった堀礼文が演じ、リーダー長は新たに松田茂樹が演じている。 また、富山役の香田修は、第1作の主要キャラクター紹介で記したようなトラブルで本作を降板。川畑信三が富山を演じる。 青田赤道のお見合い、統制部長・小川の涙の10万円の雪駄、二回生小林の淡い恋、潔癖症の大学教授助手石部、父親・玄道と赤道の親子の葛藤など、それなりに楽しめるエピソードが揃っているが、メインキャラである富山が変わった事により、シリーズとしての面白さが半減してしまった。青田赤道も小川のイメージが強く、なかなか馴染めず。特に冒頭は第一作の焼き直しのようでもあり、ややマンネリ気味。 シリーズはこれにて一度打ち止めとなる。
富山、北口をはじめとする下級生団員が最初見るからに草食系で、映画が進むにつれ、男としての何たるかに目覚めていくという設定も悪くは無い。映画的な面白さから言えば決して成功しているとは言い難いが、何故、今「花の応援団」なのかという創り手のメッセージは十分に感じる事ができる。 また、昭和シリーズとはパラレル的な設定で繋がっているようで、応援団のOB総見に現れるのが、初代今井均、二代目井上浩之、三代目本間進という歴代の青田赤道役者と薬痴寺役のなぎらけんいち(現・健壱)、初代富山役の香田修、初代北口役の深見博(現・亮介)だったりする。 さらには、南河大のライバル浪華大応援団の初代角木役の神戸誠、富山の母親役で同名の新子として宮下順子も登場する。 これは、旧シリーズのファンにはたまらない見所でもある。
「アルティメット対抗戦」のレフェリー役に赤星昇一郎(怪物ランド)、クラブ「RING」の支配人役に新井康弘(元ずうとるび)、ミナミの女役として北斗晶(元女子プロレスラー)、ミナミの男役として村上竜司(士道館の空手家)など、知る人ぞ知るメンツがチョイ役で出演しているのも楽しい。