1956年「KING
OF THE MONSTERS GODZILLA(怪獣王ゴジラ)」、続いて1959年「GIGANTIS
THE FIRE MONSTER(ゴジラの逆襲)」と、アメリカで公開された日本の怪獣映画の人気と質の高さに目をつけていたジョン・ベックは、この企画を「キングコング対プロメテウス」(※プロメテウスは、メアリー・シェリーのフランケンシュタインの原作「フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス」から引用したもの)として東宝に売り込みをかけた。
そして、この企画にのった東宝はキングコングの著作権利を5年契約で借り受け、後に「キングコング対ゴジラ」として映画化する事となるわけだが、ちょうどその「キングコング対ゴジラ」の映画公開直後に、アメリカのベネディクト・プロ(当時、アメリカでのゴジラの権利を取得していたHENRY
G. SAPERSTEIN ヘンリー・G・サパースタイン設立)が、キングコングの元々の対決相手であったフランケンシュタインの怪物を中心とした対決企画をたて、東宝に提携を申し入れていた。
これが「フランケンシュタイン対地底怪獣」の元となった企画である。
本作が公開されたのが1965年8月。当時の宣材などでも「構想三年、初の日米合作怪獣映画」と謳われているので「キングコング対ゴジラ」が国内公開された1962年8月以降、早々に企画が立ち上がったものとみてまず間違いないであろう。
東宝とベネディクト・プロ提携による初の日米合作怪獣映画となった本作だが、海外版プロデューサーは当時、アメリカ全土と西半球でのゴジラ映画の配給権利を取得していたアメリカのHENRY
G. SAPERSTEIN(ヘンリー・G・サパースタイン)。
本作に「キングコング対ゴジラにでてきたような大ダコをだしてくれ!」と無茶なリクエストをした人物でもある。
ヘンリー・G・サパースタインは、ジョン・ブアマン監督、リー・マーヴィン、三船敏郎主演の「太平洋の地獄」(68年)の製作総指揮としても知られている。
●FRaNKENSTEIN
- Der Schrecken mit dem Affengesicht
KAIJU CLASSICS
ドイツ盤DVD 特典CD付
2007年8月24日 ANOL S ENTERTAINMENT<ACE003> ※西ドイツ版オリジナルポスターを使用したスチールケース仕様のパッケージ
●封入特典CD
WDR(西ドイツ放送)制作 ラジオドラマ
「広島のフランケンシュタイン」
・Horspiel-CD "FRaNKENSTEIN in Hiroshima"
von Jorg Buttgereit
Constantim FILM bringt(提供)
NICK ADaMS in FRaNKENSTEIN Der Schrecken
mit dem Affengesicht
TOHO CO Ltd./ HENRY G. SaPERSTEIN
ENTERPRISES
(ちなみにTakao Takashima←高島忠夫の名前が違う。)
エンディング表記は“ENDE”。
オープニングはドイツ語版クレジットに差し替えられているが、地名を表示するテロップ等は英語表記のままで、本編映像とのつながりもスムーズ。一部、ドイツ語版テロップも表示されるが、英語版にレイヤー状態で表記処理をしているようだ。
また、土屋嘉男演じる河井が秋田油田の作業所で読んでいる“広島で見つかった放射能に強い怪童”という新聞記事のアップがドイツ語ではなく、“Baptism By A-Bomb? Strange Child
With Strong Resistance To Radiation
Found in Hiroshima”という、英語版の新聞記事に差し替えられている事からも、おそらく英語圏公開版フィルムを元にドイツ公開版として作り替えられていたものをマスター、あるいは復元するための元映像としていると思われる。
ちなみに東宝特撮巨大生物箱DVD-BOX内封入の海外版では、新聞記事は日本語のまま。
国内公開オリジナル版から削除されたシーンは、上記「東宝特撮 巨大生物箱 DVD-BOX」特典映像ディスク収録の「FRANKENSTEIN
CONQUERS THE WORLD」(TDV17007D)およびMedia Blasters製米国盤DVD(TSDVD0711)海外版とほぼ同じだが、さらに下記のシーンに差異がみられる。
解説書に“当時の「キネマ旬報」紹介号に「フランケンシュタイン対海底怪獣」、東宝ネガ出し用アルバムに「フランケンシュタイン対地底海獣」の誤表記、海外版別タイトルに「FRANKENSTEIN
VS THE GIANT FISH」というものがあるのは面白い”という記載があるが、これはベネディクト・プロから“「キングコング対ゴジラ」にでてきたようなジャイアント・デビルフィッシュ(大ダコ)をだしてくれ!”というリクエストがなされたものがそのまま残ったものと推測する。(アメリカまたはイギリスでは、蛸を“悪魔の使い”としてデビルフィッシュと呼んでいる。)
また、無茶なリクエストを要求したにも関わらず、ベネディクト・プロが大ダコの登場シーンを使用しなかった理由は、「キングコング対ゴジラ」のような本物の蛸との合成を期待していたが実際には操演用モデルの大ダコで、その出来に満足しなかったという説がある。