●呪いのビデオ、リング・ウィルス増殖中、もはや貞子の呪いから逃れるすべはないのか…? ここに恐怖のリング・ウィルス増殖の過程を考察し、後世に残そう。 後に世界を震撼させる事となる恐怖のウィルスの発生は、1989年4月、ウィルスの根源主とされる鈴木光司の脳内に発生し、小説という形で執筆され始めたことが発端とされている。 この年、恐怖のウィルスは、すでに完成されていたようで、第10回横溝正史賞にひっそりと応募されるが、その危険性にはほとんど気づかれる事なく、最終選考ではじかれてしまう。
1991年6月、ウィルス発生の要因とみなされる角川書店より発表されたホラー小説「リング」。 それはまず、一握りの嗅覚の鋭いホラー小説ファンに感染した。「もの凄く恐ろしい小説がある…」、恐怖ウィルスに感染したホラー小説ファンは、この言葉を呪文のように唱え始めた。
●角川書店「リング」 1991年6月20日初版発行
少女の怨念とビデオが関係あると噂され、それは、ビデオの呪いとしての「リング」の知名度を一挙に押し上げる事になった。15.3パーセントの視聴率の為に、ウィルスを広めたフジテレビの罪は重い。 そして1995年11月24日、アミューズビデオよりテレビ版「リング」は完全版としてビデオ化。初めてレンタルビデオショップにウィルスがばら撒かれる。96年1月には、TBSラジオの角川提供の番組枠でラジオドラマ化。ラジオ界でも感染者が続出し、同年6月にはCD化される。 さらに、96年7月26日にはテレビ版「リング」がLD化され、97年2月21日には廉価版ビデオとしても再発売されてしまう。もはや手のつけようがないほどのスピードで感染が広まり、いよいよ危険な状態に入ってしまった。
恐怖のリング・ウィルス増殖において、根源主の鈴木光司の共謀者ともみなされる、もう一人の男が、ここに登場する。1998年1月31日、全国東宝系にて公開された映画版「リング」を創った男、中田秀夫監督である。 この映画版リング・ウィルスは、新たなお化けキャラ、貞子を創りだしてしまった。なんと公開5週目で感染者100万人を突破。さらに、最終的な感染者は150万人ともみられ、ついに日本全土に猛威を奮う恐怖のウィルスは、貞子の呪いのビデオとして最盛期を迎えてしまうのである。中でも女子高生には感染による重症者が続出したようだ。
1998年6月、映画版「リング」の呪いのビデオがレンタルショップにて無料貸し出しされた後、同年7月10日映画版「リング」がいよいよビデオ化、20万本の恐怖ウィルスがレンタルビデオショップに出荷されてしまう。 危険を感じた発売元のポニー・キャニオンは、呪いを解くためのワクチンをインターネット上で公開したがまったく効果はなかった。 同年9月18日にはLDでも発売。このLDには、ここでしか確認する事の出来ない中田秀夫監督のウィルス増殖に拍車をかけてしまった言い訳が収録されている。推定で約6000枚のウィルスがLDに収録され出荷されたもよう…。
その後、1999年1月7日、全国フジテレビ系にて変種ウィルス「リング 最終章」として再びテレビドラマ化され、同年6月2日にはビデオ化。 同年1月23日には映画版「リング」がテレビ放映され、22.7パーセントの高視聴率をあげる。お茶の間の家族団欒にも容赦なくウィルスがばら撒かれたわけだ。 1999年1月頃からは、CD-ROM(ホラーROMシリーズ)、コミックス、携帯ストラップ、プリクラ、テーマパークのアトラクションなどにも、増殖を始めるようになり、同年8月18日には、高解像度と5.1chサラウンド化によるジュエルケース仕様のDVDとして出荷される。 そして、2003年4月16日には、ハイビット版DVDとして、トールケース仕様で再発売もされた。新たにハイビジョンマスターからダイレクトエンコーディングし、高転送レートで収録したハイスペック仕様と、6.1chDTS−ES音声をプラスした過去のどのバージョンにもない新種の特徴を持ち、ますます危険性を増したものであった。 パワーの落ちる変種ウィルス「らせん」「リング2」「リング0 バースディ」とのボックスセットDVDも同時出荷されたが、やはりキラーウィルスとしての「リング」こそが、要注意ウィルスといえよう。
そして、日本中を恐怖のどん底に落とし込んだリングウィルス、貞子のビデオの呪いの次なる増殖のターゲットは海外であった。 1999年3月12日に台湾で映画版「リング」が劇場公開されたのを皮切りに、香港・韓国でも公開された。特に韓国では、99年6月12日に変種の韓国製ウィルスが発生。かなりパワーは落ちるも、局地的な被害を与えたようだ。 さらに、ヨーロッパへも渡ったリングウィルスは、1999年ベルギーのブリュッセル国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞し、口コミと海賊版ビデオによる感染被害者が増大した。
アジア、ヨーロッパを震え上がらせたその猛威は、同時期にアメリカへも渡っていた事が判明。その画質の悪い海賊版ビデオは、まさに呪いのビデオそのままであった。そして、2002年10月、その増殖のさまを敏感に感じ取ったハリウッドのスピルバーグ率いるドリームワークスは、なんと約72億円の巨費を投じてハリウッド版ウィルスを改種発生させてしまったのだ。 ハリウッド版ウィルスに感染した現地の人々は、さらにオリジナルの日本版ウィルスを求めてさまようという怪奇な逆転現象も起きているようだ。
ウィルス発生の根源とされる鈴木光司が執筆を開始した1989年4月から、ちょうど14年たった今、リング関係推定総感染者数は、日本国内だけでも小説版総約800万人以上、映画版約500万人以上、ビデオ版約40万人といわれている。 さらに、その脅威が世界的に増殖する中、もはやこの貞子の恐怖のウィルスと共存するしか人類が生き残る道はないのであろうか…、もう残された時間はない…。(2003年5月5日の日記による)
ハイビジョン画面16:9(1.78:1)で視聴すると天地にやや黒帯が表示されるアメリカン・ビスタ(1.85:1)にて収録。ローコントラストポジからテレシネしたニューマスター版で、この画角では初収録となる。 BSフジ・日本映画専門ch.HD放送版(下記参照)と比較しても、より鮮明で発色がよい。適度なグレインによるフィルムライムな質感も、HD放送版では感じられなかったブルーレイならではの高画質感を受ける。 画角的には天地左右ほんの僅かずつトリミングしているようだが、リリースのたびに画質がよくなるのは非常に喜ばしい事だ。 音声は2.0chサラウンド(ドルビーデジタル)、6.1chサラウンドをdts-HDマスター・オーディオにて収録。 本作の影の主役は効果音。不気味なBGMはもちろん、電話のベルを巧みに使った演出など、その後のホラー映画に与えた影響は計り知れない。 ポップアップメニュー、チュプターメニュー、日本語字幕収録、特報(30秒)・予告編(1分10秒)収録。 ■過去のHD版放送データ ●地デジ(テレビ朝日)放送版 2007年8月4日(土)夏休み映画スペシャル ハイビジョン版(初放送?) 上記国内初盤DVD<PCBE-00006>で使われたマスターを、天地左右ズームしてハイビジョン画面16:9(1.78:1)フルサイズにてHD放送。 ●BSフジ2008年3月3日(月)、日本映画専門CH.2012年5月11日(金)HD放送版 上記国内ハイビット版DVD<PCBE 50503>で使われたマスターを使用。天地左右に若干黒帯が表示されるアメリカン・ビスタ(1.85:1)そのままの画角にてHD放送。