七人の侍 (2002.06.01)
-------------
●マッキントッシュ版の方は、Microsoft Internet Explorer5.1のご使用を推奨します
-------------
●ウィンドウズ版の方は、Microsoft Internet Explorer4.01以上、Netscape Communicator4.05以上をご使用ください
-------------
※このまま見続けたい方は一度 →ジャケット比較トップ に戻ってから各ページをご覧ください。

戦国時代、農民に雇われた七人の侍と、野盗と化した野武士の一団との戦いを中心に描くスペクタクル大作!黒澤明監督作品「七人の侍」。
世界的にもアクション映画の傑作と評価されているだけに、米国やヨーロッパ、アジアでも続々とLD・DVDがリリースされている。上映時間、3時間27分(前半107分、休憩5分、後半95分)、製作費は当時の金額で2億1千万円(現在の金額では約25億円※値段史年表によると約40億円ともいわれる)の超大作、まさに日本を代表する芸術作品である。

●昭和27年12月、熱海の老舗旅館(水口園離れ香月庵)に40日間こもり、「七人の侍」を書き上げた共同脚本の黒澤明、橋本忍、小国英雄の3人だが、その緊迫感たるものは、お茶を運びにきた女中など怖くて声をかけられなかったほどであったらしい。脚本を書き上げたとき、橋本忍、小国英雄の二人は、終わった、出来た、と喜んだが、黒澤ひとり、これからこれを撮らなきゃいけないのかと渋い顔だったという。

●七人の侍それぞれの個性的なキャラクターは、大学ノート数冊にビッシリと書き込まれていた。キャラクター設定がしっかりしているからこそ、いかなる場面でも登場人物がいきいきと動く。キャラクターが物語を進行していくといった典型的な成功例である。特に、勘兵衛が五郎兵衛と共に野武士との対決に備えて作戦を練る様子が克明に描かれるが、沈着にして豪胆、という勘兵衛のキャラクター設定通リの展開で観る者を十分に納得させる。また、黒澤が、勘兵衛ならこう考えるだろうという発想の元に繰り広げられた野武士との戦いであるが、映画で描かれた戦いを見た自衛隊が、アメリカの軍事例にそっくりだがあの戦い方は何かを参考にしたのか?と、黒澤の元に確認しに来たらしい…。恐るべし、黒澤監督。

●台詞が聞き取りにくいという評判の黒澤映画だが、鉄砲を種子島と言ったりするなど、その時代考証に沿った忠実な言い回しがそう聞こえさせるのかもしれない。

●舞台となる農村にふさわしい撮影場所を求め、2ヶ月間探したが見つからず、結局、東京と静岡にまたがる5箇所の異なる場所を使って一つの村として撮影される事となった。 同じ橋を東京と伊豆の2箇所に造り、二つの場所を一つに見せる工夫など、その編集の巧さには驚かされる。

●村人や子供達には多くの素人が起用され、すべてのセットの家がそれぞれの村人に家族として割り当てられ、生活感をリアルにだす事に成功している。野武士に家族すべてを殺された印象的な老婆も近くの老人ホームの素人であった。 また、七人の侍の中でも菊千代と並び人気の高い剣豪、久蔵に扮する宮口精二は、剣道の経験のまったくない素人だったが、映画の中では鬼気迫る剣豪に見えるなど、黒澤の演出力と俳優や素人の使い方の上手さは、この作品でも際立っている。

●当初、71日間の撮影予定が、丸1年たってもまだアップしない状況に、東宝上層部から撮影中止命令がでた。黒澤は、それを見越してわざとラストの合戦シーンを撮影しなかったのだが、途中で良いから編集して観せろという幹部連中に“クライマックスはありません”“雪が降っても私は知りません”などとうそぶいた…。
そして、黒澤は編集作業に1週間かけ、撮影途中までの試写を幹部連中に見せる事となるが、早坂文雄の名曲「侍のテーマ」のトランペットが高らかに流れる中、 菊千代が、屋根の上に旗をたて「来やがった、来やがった〜」と叫ぶシーンで試写はブチッと終わる。
唖然とする幹部連中は緊急会議後、黒澤に「後は存分に撮影してください」と告げる。さぞかし、いい気分であっただろう黒澤…。
しかしその後、すぐに雪が降り積もり撮影続行不可能となってしまうが、この雪がまた奇跡を起こす。当初の予定の雨プラス、黒澤の足の爪が変色するほどのすさまじさだったらしい雪を溶かした寒さと泥とぬかるみが、映画史に残る名シーンを生むのである。まさに映画の神様のマジックであり、このエピソード自体が映画のようである。

▲ページTOPへ
LD GALLERY
●SEVEN SAMURAI
米国クライテリオンCAV盤LD
1988年 ボイジャー社<CC1167L>
LDはもちろん、ビデオさえもなかなか発売されない本家日本の状況の中、1988年に米国で発売されたボイジャー社、クライテリオン・コレクション英語字幕付4枚組CAV盤LD「SEVEN SAMURAI/七人の侍」。
予想通り、しびれを切らしていた国内のファンの予約が専門店に殺到した。あまりにも反響が大きかった為、東宝が国内での逆輸入販売を禁止させたほどである。しかし、禁止されようがどうしようが、見たいものは見たい!と言うわけで、一部の専門店店頭には堂々と陳列されていた。オーディオビジュアルディスクの歴史を語る上では外せない作品である。
 
●SEVEN SAMURAI
米国クライテリオンCLV盤LD
1990年 ボイジャー社<CC1236L>
CAV盤より遅れて発売されたクライテリオン2枚組CLV盤「SEVEN SAMURAI/七人の侍」。
CAV盤がデラックス版、このCLV盤が通常廉価版という位置付けである。しかし、五郎兵衛(稲葉義男)がいない「六人の侍」の写真を使用しているジャケットが、個人的にどうも気になる(写真も左右逆だし…)。
CAV・CLV盤とも203分表記だが、休憩(Intermission)約5分もフル収録されている206分27秒版。
▲ページTOPへ
国内初盤LD 1993年11月1日
東宝<TLL2124>
※再プレス版1998年7月24日
黒澤明監督作品ライブラリー発売の最後を飾るのが1993年11月1日の「七人の侍」だった。黒澤作品を数多く手がけた撮影監督・斉藤孝雄氏監修によるハイビジョン・テレシネリリース。
フィルムライクなクライテリオン盤の画質とは違い、ギラギラとした黒澤映画らしい、コントラストの強い画質が特長。
休憩5分も収録時間に入れた207分(206分27秒)表記の完全オリジナル版。収録音声は、1991年11月2日のリバイバル公開時にリニューアルされた斬殺音の入った効果音入りバージョン。
▲ページTOPへ
●七人の侍
1993年発売告知パンフレット
1988年のクライテリオン盤LD発売から5年、いよいよ1993年11月1日、東宝国内盤LDが発売される事となった記念のパンフレット。
予告編集ディスク、復刻版パンフレット、メイキング集など、プレゼント特典も豪華だった。
→プレゼント特典はこちら
→「七人の侍」画像比較はこちら
▲ページTOPへ
DVD GALLERY
●SEVEN SAMURAI
米国クライテリオン盤DVD
1999年3月1日 ボイジャー社<SEV040>
ボイジャー社クライテリオン盤DVD「七人の侍」!クライテリオン盤DVDは、暗部の解像度が素晴らしく、細密感が凄い。入念な修復作業の行程を、画面の比較で見せるドキュメントが興味深い。
また、初回プレス分は国内のDVDプレイヤーでも再生できるコードフリーの貴重盤。英語字幕ON/OFF可能。
本編のみの203分表記だが、休憩(Intermission)5分も収録されている207分(206分27秒)の完全オリジナル、効果音無し音声版。3時間27分の超大作を最初から最後まで連続して見られるDVDとなる。
▲ページTOPへ
●七武士
台湾盤DVD 1999年
宇宙企劃有限公司<DV-005>
台湾製DVD、コードフリー。上記クライテリオン盤LDからの流用なので、英語字幕表示は焼き付けで消せない。
黒帯びベタの白抜き中国語字幕は表示・非表示選択可能。 コントラスト、解像度ともにイマイチで、暗めのシーンになるとデジタルブロックノイズが目立つ。
本編203分収録。休憩5分の映像・音楽は丸ごとカットされている為、本編203分の再生時間となる。
ジャケットは良しとしてもピクチャーディスクがダサい…。
▲ページTOPへ
●SEVEN SAMURAI
英国盤DVD 1999年12月
bfi(British Film Institute)
Video Publishing<BFIVD 501>
コード2、PAL方式DVD。日本語音声収録、英語字幕OFF不可。チャプター付。ピクチャーディスク、解説書封入。
冒頭の東宝マーク及びクレジットタイトルのほとんどと、休憩部分5分の映像・音楽をカットした189分10秒(早送りのはずだが何故かジャケット表記も190分)。効果音無し音声版。

現在「七人の侍」には、冒頭のタイトル白文字の縁がグレーになっているクライテリオンマスターと、コントラストの強いくっきりとした東宝マスターが存在しているが、この英国盤DVDはクライテリオン盤DVDマスターのデジタル修正前のもののようである(クライテリオン盤LDのマスターと同じものかもしれない…)。
映画史評論家PHILIP KEMPによるビデオエッセイ、黒澤明・三船敏郎両プロフィール、「用心棒」英国盤DVD予告編などの特典映像付。
「イギリス国立映画/テレビ学校」では、「七人の侍」は研究ドキュメンタリー素材にもなっている(NHK「黒澤明のすべて」で放送)。(2002.4.14)
 
●七侠四義
香港盤DVD 1999年

美亜[金雷]射影[石葉]有限公司
<DVD-201>
コードフリー。英語・簡体中国語・繁体中国語字幕表示ON/OFF可能。200分収録版。
東宝が1993年リリースの初盤LD用にハイビジョン・テレシネしたマスター(冒頭のタイトル白文字のコントラストが強い)を元としているようだが、エッジ・暗部にブロックノイズが盛大にでるシーンも見受けられ台湾製DVDよりも画質は悪い。

しかも、両面1層ディスクなので、前半・後半がそれぞれ片面に収録されている。よって全編通して見るには途中でディスクを裏返さなければならない。
休憩部分の映像・音楽はカット。200分収録表記だが、休憩部分以外のカットは無いようなので、表記違いか、映像再生スピードの違いと思われる。効果音無し音声版。
▲ページTOPへ
●LES SEPT SAMURAIS
フランス盤DVD
2002年6月20日
Tous publics<EDV 701>
スリーブ式収納ケース入りデジパック仕様特典ディスク付2枚組。PAL方式・コード2。ムービングチャプター、日本語音声収録、仏語字幕表示OFF不可。
休憩部分5分の映像・音楽のみをカットした東宝マーク入り193分5秒(早送りのはずだが、何故かジャケット表記も193分)、効果音入り音声版。
PAL方式の為、映像再生スピードが速く音声キーが高いが、英国盤PAL方式DVDよりも日本語音声が聞きとりやすい。くっきりとした白文字の東宝マスターを使用しているが、コントラストは押さえ気味にフラットな明るい映像で収録されている。(暗い部分が良く見える。)

特典ディスクには「七人の侍各シーンの音声解説」「黒澤映画ポスター(※フランス版が貴重)・メイキングスチールギャラリー」「黒澤明フィルモグラフィー」「出演者・他のスチール解説」などが収録。(フランス語なので詳細不明)。
それにしても、黒澤作品の海外版ジャケットやピクチャーディスクに使用されているスチールやタイトル表記は、どうしてこうも統一感がないのだろうか?
日本を代表する芸術、黒澤作品であるならば、フィルム権利の売買だけではなくジャケットに使用するスチール、タイトル表記の管理などを徹底して、作品としての統一感をもっとだすべきだと思うが。(2002.6.1)
▲ページTOPへ
●Los Siete Samurais
スペイン盤DVD 2002年
filmax HOME VIDEO<62266>
コード2、PAL方式。
コントラストの強い東宝LDマスター使用のスペイン盤。 オリジナル日本語音声、スペイン語音声収録。スペイン語に吹替えられた「七人の侍」はかなりレア。日本語音声は効果音入りだが、スペイン語音声は効果音無しバージョン、スペイン語字幕付きでON/OFF表示可能。
休憩部分5分の映像・音楽をカットした東宝マーク入り早送り201分15秒版(ジャケット表記205分)。

メインメニューとチャプターメニューは動画。特典映像として「スタッフ・キャスト紹介」「黒澤明フィルモグラフィー」「マルチカメラシステムを紹介する製作ノート」などが静止画の文字情報として収録。
見開き解説書も封入されていてアジアでリリースされているDVDよりもグレードは高い。
マカロニ(スパゲッティ)ウェスタンの原形となった「用心棒」などもあり、クロサワとミフネのヨーロッパでの人気はかなり高いようだ。(2002.9.24)
▲ページTOPへ
七武士 2002年発売(台湾盤DVD再発盤)
●七武士
台湾再発盤DVD 2002年

影久有限公司<JDVD007>
コードフリー。メインメニュー、チャプター付。
画像は1999年に発売された初盤DVDと同じクライテリオン盤LDからの流用で、焼き付け英語字幕表示は消せない。 中国語字幕のみON/OFF可能。台湾初盤DVDの中国語字幕は黒帯び付の白抜き文字表示であったが、今回は通常の文字表記に変更されている。 また、全編を通して見るには途中でディスクを裏返さなければならない両面1層ディスク仕様にも変更されている。 前半・後半(サイドの切れ目)の休憩部分の映像・音楽はカット。
冒頭の東宝マークと休憩部分のカットで200分収録表記だが、かなりいい加減。
クライテリオン流用なので効果音無し音声版。
ちなみにThe Films of AKIRA KUROSAWAと銘打った黒澤明監督セット発売の1枚で「1.静かなる決闘、2.野良犬、3.醜聞、4.羅生門、5.白痴、6.生きる、7.七人の侍、8.蜘蛛巣城、9.隠し砦の三悪人、10.悪い奴ほどよく眠る、11.用心棒、12.椿三十郎、13.天国と地獄、14.赤ひげ」といったシリーズセットとなっている。(2002.9.24)
▲ページTOPへ
●I SETTE SAMURAI
イタリア盤DVD 2002年<20012>
Mondo Home Entertainment S.r.l
コード2、PAL方式DVD。
オリジナル日本語音声、イタリア語音声収録。日本語音声版は効果音入りだが、イタリア語音声は効果音無しバージョン、難聴者向イタリア語字幕付でON/OFF表示可能。 休憩部分の映像・音楽をカットした191分26秒早送り版(ジャケット表記は200分)。
冒頭の東宝マークはかなり退色していて、クレジット・エンドタイトルともにイタリア語版クレジット(黒バックに文字のみ)に差換えられている。全編に渡ってコントラストが浅く、平板な映像だ。 おそらくイタリアに残されていた(?)フィルムに手を加えてのDVD化とも思われる。
▲ページTOPへ
●国内単品盤DVD
2002年10月25日 東宝<TDV2673D>
単品盤のみの専用ブックケース入りトールケース仕様。BOX盤とは写真違いのピクチャーディスク。ボイジャー社もこのピクチャーディスクの写真を見て、クライテリオン盤ジャケットの画像が左右逆だと学習してくれると良いのだが…。

BOX封入盤ともに初期プレス回収盤は、百姓の力になろうと決意する勘兵衛が、山盛りご飯をかかげる超有名なシーンが、2回(32分06秒と32分22秒)繰り返されるというフィルム修復時の編集ミス盤。
勘兵衛がご飯をおかわりしてしまうという珍品「勘兵衛おかわりバージョン」、結構レアだ。
単品盤・ボックス盤とも、もちろん交換はしない。(2002.11.2)
▲ページTOPへ
●黒澤明 THE MASTERWORKS 1 初回限定製造DVD-BOX
国内盤DVD 2002年10月25日 東宝<TDV16274D>
豪華布製ボックス、初回限定 黒澤明監督作品ボックスセット第1弾。
各巻特製デジパック、シナリオに沿ったムービングチャプター、豪華解説書、日本語字幕付、ピクチャーディスク仕様。 オリジナルモノ音声、ドルビーサラウンド(効果音入り)、5.1chリミックス(効果音入り)音声収録。

■前編ディスク
●約5分の休憩までを完全収録した本編前編111分37秒
●特典映像:劇場予告篇4種

・特報(オリジナル版 音声なし・2分39秒)※初収録
・予告篇(1975年版リバイバル・4分7秒)
・特報(1975年版リバイバル・33秒)
・予告篇(1993年版最後のリバイバル・2分36秒)

■後編ディスク
●本編後編94分58秒
●特典映像:「黒澤明〜創ると云う事は素晴らしい」(メイキングドキュメント)49分7秒


本編合計206分35秒収録(ダブリ映像3秒が関係か?)
本家東宝「七人の侍」、あえて本編を2枚組みにした画質へのこだわり。クライテリオン盤DVD(※旧盤SEV040)も凌駕する、その解像度は充分に満足のいく内容だ。

本編未使用シーンやメイキング風景が見られる貴重なオリジナル版「特報」(音声無し)、豪華解説書(国内盤LD解説書に掲載されているものと一部同じ)に数多く掲載されているスナップ、幻のオープニングシーン等を解説したメイキングドキュメントなど興味深い特典映像も多い。(2002.10.25)
▲ページTOPへ
●オーストラリア盤DVD
2004年11月2日<EYE203>
MADMAN ENTERTAINMENT
コード4、PAL方式DVD

オリジナルモノ音声・5.1chリミックス音声収
※英語字幕収録
※207分版
※シーンセレクション(チャプター)付
※オリジナル劇場用予告編収録
※ジャケットサイズ見開き4ページブックレット封入
 
●Os 7 Samurais
ブラジル盤DVD
2005年(?)<DVD101>
CONTINENTAL HOME VIDEO
コードフリー、ブラジル盤なのでNTSC方式、国内のプレイヤーでも視聴可能。

若干、画像が暗いが、クライテリオン盤DVDに存在するフィルム傷が同じ箇所に見られる事から、クライテリオン用マスターを元に、ブラジル独自にDVD化したものと思われる。

・オリジナル日本語音声版(クライテリオン盤マスターなので効果音無しバージョン)
・ポルトガル語・スペイン語・英語字幕収録(ON/OFF表示可能)
・休憩5分もフル収録されている207分(206分20秒)完全オリジナル)版
・メインメニューとチャプターメニューは動画
特典映像として「黒澤明プロフィール」「日本版オリジナルポスター静止画」「リバイバル時オリジナル劇場用予告編字幕入り(焼付け英語字幕付)」。また「同メーカーからのリリースDVD情報」も収録。 (2005.09.03)
▲ページTOPへ
●Die sieben Samurai
ドイツ盤DVD 2005年<N110>
PEGASUS HOME ENTERTAINMENT
コード2、PAL方式DVD。160分短縮版。
チャプター付、静止画写真集(スライドショー形式)収録。ドイツ語のみの音声収録。

オープニングには、ATLAS FILM ZEIGT と映画会社らしきクレジットが表記されるので、おそらくドイツ公開版かと思われる。

クレジットタイトルは、勇ましい音楽とスチール写真によるドイツ語版クレジットに差し換えられており、ほとんどのオリジナル音楽が使用されるべき場所で使用されず、音楽がかからないシーンに、まったく違う別の曲がかかるなど、かなりの編集を施している。
また、ほぼ全編に渡るカットにより、ダイジェスト版を見ているかのような印象を受ける(それでも2時間40分だが…)。(2006.10.22)
▲ページTOPへ
●米国クライテリオン再発盤
ニューマスター仕様DVD
2006年9月5日 ボイジャー社<Criterion Collection #2>
ボイジャー社独自のテレシネ作業により、新たにリリースされたニュー・マスター仕様クライテリオン再発盤DVD「七人の侍」。クライテリオン盤特有のその緻密な表現の豊かさに、ボイジャー社のテレシネ技術の確かさをみることができる。
大画面フルスペックハイビジョン液晶テレビで視聴しても決してボケる事もなく、東宝盤DVDよりもきれいな印象を受ける。 むしろ液晶テレビにはクライテリオン盤DVDのきめ細かさが、その特性に合っているのではないかとも感じた。

休憩(Intermission)5分も収録されている207分(206分27秒)完全オリジナル版。
特製デジパック仕様3枚組。平八が作った侍と農民、そして菊千代をあしらった旗をモチーフとしたジャケットは、ムービングメニューで効果的に使われている。

コード1(※国内のプレイヤーでは再生不可) 英語字幕ON/OFF可能 チャプター付 日本映画の研究家Michael Jeckらによるコメンタリー収録。
オリジナルモノ音声(効果音無し)・ドルビーサラウンド(効果音入り)両収録。※5.1chリミックス未収録。
■前編ディスク
●約5分の休憩までを収録した本編前編
●特報含む予告編4種
・予告篇 (1975年版リバイバル4分10秒)
※東宝DVDに収録されている1975年版リバイバル予告篇(4分7秒)とは別バージョンで、クライテリオン盤には4分7秒版は未収録となる。
・特報 (オリジナル版 音声なし・2分39秒)
・予告篇(1993年版最後のリバイバル・2分36秒)
・特報 (1975年版リバイバル・33秒)
●メイキングスチール集
●海外ポスターギャラリー
※メイキングスチール集、海外ポスターギャラリーはクライテリオン盤のみに収録の特典

■ 後編ディスク
●本編後編
●「黒澤明〜創ると云う事は素晴らしい」(七人の侍メイキングドキュメント)

■オリジナル特典ディスク
●大島渚監督による黒澤明監督インタビュー「わが映画人生」(1993年、日本語音声、約116分)
●クライテリオン盤オリジナルのドキュメンタリー"Seven Samurai": Origins and Influences(英語音声、約55分)

■ブックレット封入
"Seven Samurai": Eight Takes と称した、アーサー・ペン監督、シドニー・ルメット監督ら8人によるエッセーを中心とした60ページブックレット。シドニー・ルメット監督のエッセーは東宝盤LD・DVDに封入の解説書に記載されていたものの原文。また、黒澤組の記録係、野上照代と三船敏郎の対談(1993年)も英訳記載されている。(2006.10.22)
▲ページTOPへ
Blu-ray GALLERY
●国内盤ブルーレイ[Blu-ray]
2009年10月23日<TBR19221D>
既存のHDマスターを使わず、Super Hi-Quality BD Master Process FORS system(FORS フォルス)を採用し、新たにHDテレシネしたマスターを元に作られた東宝ブルーレイ盤「七人の侍」。
コントラストが高めだった国内盤DVDと比較すると、画質の傾向が大きく変わっている。
解像度の高さによる細密感の違いは明らかだが、上記クライテリオン再発盤DVD (#2)に画質の傾向が近くなり、よりフィルムライクになっているという印象を受ける。

冒頭の東宝マークが他から持ってきたのではないかと思うぐらい美しくなっているが、絶対的な情報量が多いので、コントラストを上げなくても細部のディテール表現が豊かに再現できているという所だろうか。

黒澤明、橋本忍、小国英雄、中井朝一、早坂文雄、三船敏郎、志村喬、他、日本映画界黄金期の多くの優秀なスタッフ・キャストが、それこそ命をかけて作った歴史的傑作「七人の侍」。 ナチュラルなフィルムの質感表現を大切にHDテレシネしたという事。それはそれで大いに結構なのだが、ソフト化の度に画質の傾向が変わるのはいかがなものかとも思う。
クライテリオンのような、特定作品に対する一貫した制作ポリシーというかコンセプトが感じられないのだ。
画面のちらつきや揺れも軽減、フィルムノイズやゴミもさらに消去され、クライマックスの雨中の合戦でもブロックノイズはほとんど見られず、相当レストアされているようだが、個人的には少し平板過ぎるというか、もう少しメリハリがあっても良かったのではないかと感じる。

2008年9月1日(土)に日本映画専門CHにて放送されたHV版は、コントラストが高めなのでおそらく従来のハイビジョン・テレシネマスターを使用したものと思われる。こちらも保存価値有りだが、画面右下映像内に日本映画専門CHのマークが入り込んでいるのが残念…。

映像/本編3時間26分58秒版 オリジナルスタンダードサイズ 1080P HD MPEG4-AVC
音声/オリジナルモノラル リニアPCM(効果音無し版)・オリジナル2.0chサラウンド 91年版 リニアPCM(効果音有り版)・リミックス5.1chドルビーTrueHD(効果音有り版)
※リニアPCM収録により台詞がDVD収録時よりも聞き取りやすくなっている。また、DVD収録時と同じように、久蔵が鉄砲(種子島)に撃たれるシーン、オリジナルモノラルは鉄砲の音と久蔵が倒れるタイミングがズレているオリジナルのまま、他リニューアルサウンドは修正してタイミングを合わせたもので収録。
字幕/日本語字幕収録
・ポップアップメニュー、チャプター付
※ディスク1枚に3時間26分58秒収録。ディスク入れ替え無しで全編視聴可能。

■特典映像
・特報(オリジナル版 音声なし・2分39秒)
・予告篇(1975年版リバイバル・4分7秒)
・予告篇(1975年版リバイバル・4分10秒)
※メニュー上では「特報」との表記があるが、実際にはクライテリオン・ニューマスター盤DVDに収録されていた1975年版の別バージョン予告篇で、東宝盤DVDに収録されていた「特報」(1975年版リバイバル・33秒)は未収録。
・予告篇(1993年版最後のリバイバル・2分36秒)

予告編は国内盤DVD収録のものよりも画質が向上しているので、HD画質にグレードアップされているようだ。特にオリジナル版の「特報(音声のみ)」は完全にHD画質になっている。
(2009.10.25)
▲ページTOPへ
●米国クライテリオン盤ブルーレイ[Blu-ray]
2010年10月19日 ボイジャー社<Criterion Collection #2>

上記クライテリオン再発盤DVD<#2>で使われたニューマスターを元としたクライテリオン盤ブルーレイ。
上記東宝盤ブルーレイが甘くボケ気味に感じる程、解像度が高く鮮明。古いモノクロ映像にこれほどの情報量があったのかと驚くほどの高精細映像を実現している。
いささかのデジタル補正くささは感じるものの、それを補って余りある美しいコントラスト表現。同じクライテリオンからリリースされている「用心棒」「椿三十郎」のブルーレイが、コントラストが強くギラギラし過ぎていたのとは対象的に、本ブルーレイは、これぞクライテリオンという極上のクオリティに仕上がっている。

再発盤DVDリリースの際に行われたボイジャー社クライテリオンのテレシネ、レストア作業がよほど素晴らしかったという事だろうが、オリジナルフィルムを使い、Super Hi-Quality BD Master Process FORS systemを採用し、新たにHDテレシネしたというフレコミの東宝ブルーレイと、まさかこれほどまでの差があろうとは…。
まぎれもない最高画質のクライテリオン盤ブルーレイ「七人の侍」。
東宝ブルーレイ視聴時に感じた物足りなさは、ここにはない。

特製デジパック仕様2枚組。BOX、ジャケットのデザインはクライテリオン再発盤DVD<#2>とほぼ同仕様。
国内のブルーレイ・プレイヤーでも再生可能なコードA
※ブルーレイのリージョンコードは世界を3地域に分けている。日本は南北アメリカ・東南アジア・朝鮮半島・台湾と同じコードA、ヨーロッパ・中近東・アフリカ・オセアニアはコードB、中央・南アジア、中華人民共和国、ロシア、モンゴルはコードC。

■本編ディスク
●映像
・完全オリジナル スタンダードサイズ(1.33:1)収録 休憩(Intermission)5分も収録されている本編3時間26分43秒版
(本編東宝マーク前のTHE CRITERION COLLECTIONマーク及びJANUS FILMSクレジット表示21秒除く)
・ディスク1枚に本編のみ収録、ディスク入れ替え無しで全編視聴可能。
・現在視聴しているチャプタータイトル付のタイムバーを表示し、音声解説への切替とお気に入りのブックマークが付けられるTIMELINE機能付(ブルーレイのみの機能)
・英語字幕ON/OFF可能。
ポップアップメニュー、チャプター付。
※日本語字幕未収録
※レジューム機能付

●音声
・UNCOMPRESSED MONO(オリジナルモノラル音声※効果音無し)
・DTS-HD MASTER AUDIO(ドルビーサラウンド音声※効果音入り)
・映画研究家David Desser、Joan Mellen、Stephen Prince、Tony Rayns、Donald Richieらによるコメンタリー(ブルーレイのみの音声特典)
※DVD収録と同様、オリジナルモノラル音声は斬殺音等の効果音無し、ラストバトルの種子島(鉄砲)の音と久蔵が倒れるタイミングがズレているオリジナルのまま、91年版リニューアルのドルビーサラウンド音声は、斬殺音等の効果音有り、種子島(鉄砲)の音を修正して久蔵が倒れるタイミングに合わせたもので収録。
※5.1chリミックスは未収録

■特典映像ディスク
※上記クライテリオン再発盤DVD<#2>と同内容
●AKIRA KUROSAWA: IT IS WONDERFUL TO CREATE
「黒澤明〜創ると云う事は素晴らしい」(七人の侍メイキングドキュメント 49分10秒)収録、チャプター付 英語字幕付。
●MY LIFE IN CINEMA: AKIRA KUROSAWA
大島渚監督による黒澤明監督インタビュー「わが映画人生」(1993年、日本語音声、約115分59秒)収録、チャプター付 英語字幕付。
●SEVEN SAMURAI: ORIGINS AND INFLUENCES
クライテリオン・オリジナルドキュメンタリー収録(英語音声、55分12秒)
●TRAILERS AND TEASER 劇場予告篇&特報
・予告篇(1975年版リバイバル4分10秒)
※東宝DVD・ブルーレイ盤に収録されている1975年版リバイバル予告篇(4分7秒)とは別バージョンで、クライテリオン盤には4分7秒版は未収録。
・特報 (オリジナル版 音声なし・2分39秒)
※HD画質
・予告篇(1993年版最後のリバイバル・2分36秒)
・特報 (1975年版リバイバル・33秒)
※ブローアップ
●メイキングスチール集
●海外ポスターギャラリー

※メイキングスチール集、海外ポスターギャラリーはクライテリオン盤のみに収録の特典で、DVDと収録内容は同じだがHD画質で収録されているので高精細。

■60ページブックレット封入
※上記クライテリオン再発盤DVD<#2>封入ブックレットのリサイズのみで同内容だが、DVD封入のブックレットに「七人の侍」のスチールと間違えて掲載されていた写真は修正して差し替えられている。(2010.11.14)

▲ページTOPへ
SOUNDTRACK-CD GALLERY
●黒澤明映画音楽完全盤 「七人の侍」
早坂文雄 オリジナル・サウンドトラック
2001年 東宝ミュージック<AK-0001>

6ミリの音楽テープとして残された「七人の侍」の音楽を、映画で使用されている順に収録した完全サントラ盤。解説書付。
※「七人の侍」の磁気テープには、1954年の完全オリジナルと、1966年の多元磁気版リバイバルプリントを作成するために若干の補正を施して同年2月10日にコピーされたテープが現存。 両者を聴き較べた結果、経年劣化等を考慮しても1966年のコピー素材が良好と判断され、本CD音源として採用されたとの事。(封入解説書より一部抜粋)

「七人の侍」の音楽監督、早坂文雄は41歳という若さで逝去した天才作曲家である。
「会うときは何かいそいそとする程で 恋人同士のようだった」と語る黒澤明。
信頼、尊敬していた盟友の死に黒澤は落胆し、「2人が一生懸命にガチガチやってここまで来たんだ。あの人に死なれてしまって僕など、どうしたらいいのです。」と、10日間泣き通したという。
また、死の直前に取り掛かっていた溝口健二監督作品のハードワークが、結核だった早坂文雄の体に負荷をかけたといわれ、黒澤監督は葬儀の席上で溝口監督を責めたという。なんとも大人げない話ではあるが、黒澤明の当時の狼狽ぶりが伺われるエピソードでもある。

黒澤監督とのコンビで作った作品中、もっとも完成度の高いのが本作「七人の侍」、中でも「侍のテーマ」は特に知られているが、この名曲誕生のエピソードがまた面白い。
撮影の合間、テーマ曲の打ち合わせのため早坂文雄の自宅(祖師谷)を訪れた黒澤は、早坂がピアノで弾いた20以上のスコアをひとつも気に入らなかったという。(早坂は大体こんな曲というラフスコアを300枚書いていた)
困り果てた早坂は、一度ゴミ箱に捨てたものを戻して「これはダメだと思うが…」と前置きしながら弾いてみせた…。
すると黒澤は言った。「これだ!これなら侍のように 勇ましくも哀しくもある!」 と。
名曲「侍のテーマ」は、実は早坂文雄が一度ゴミ箱に捨てたボツ作品だったのである。(※1999年4月11日 日本テレビ「知ってるつもり?!/黒澤明と七人の侍伝説」より一部引用)
早坂の弟子であり、のち「用心棒」などの音楽を担当した佐藤勝は、「そんなうまい話あるのかなぁ」といぶかしく思ったらしいが、これも伝説。嘘のようなほんとの話だ。
このエピソードは海外でも大いに受け、外国の記者からは「これからは、まずゴミ箱を先に探してください。」と切り返されたという。

▲ページTOPへ

●本サイトに掲載されているジャケット画像および静止画像にはそれぞれの然るべき製作者・著作者にその権利があります。本サイトは、それらの製作者・著作者からなんらかの指摘および注意を受けた場合には、すみやかに画像・内容を消去するなどの対応をいたします。
●LD/DVDのチョイスや解説は独断と偏見です。記載事実に誤り等がございましたらメールでご意見お願い致します。
※本サイトに掲載されている文章の引用・転載は自由です。ただし、著作権は放棄していませんので、引用・転載前にご連絡ください。
※本サイトに掲載されている文章は、独断と偏見によるまったくの個人的意見が中心となっております。また、本サイト上のデータは、個人的資料によるもので、その正確性・正当性に欠ける場合もございますがご容赦ください。
HOME | ギャラリーコラムへ