ターミネーター　THE TERMINATOR

（2009.06.28）

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「着るものがない…」「おまえの服をこっちによこせ、はやく…」
大柄で筋骨隆々の男は、無表情にそう言った。

「今日は何日だ？…今日の日付は！」「何年の？！」
警官に拳銃を向けながら、ひどく周りを気にする男は、そう聞いた。

閃光とともに現れた二人の男は、一体何者…。

映画は脚本とアイデア、そして工夫で面白く出来ると、一人の無名監督があらためて教えてくれた。
1982年、「ターミネーター」ジェームズ・キャメロン監督。

衝撃的な悪役だった。
ターゲットを追い続け、「抹殺」というプログラムを処理する機械。
廃車プレス機が車をサイコロのように押しつぶし、シュレッダーが不要な紙をミリ単位で断裁し続けるのと同じように、そこには、良心の呵責も、恐怖心も、一片の憐れみもない…。

演じるは、マッチョな体とオーストリアドイツ語訛りで話すボディビルダーで、のちにハリウッドを代表するアクションスターとなるアーノルド・シュワルツェネッガー。
抑揚のない台詞回しは、殺人マシーンという設定にピッタリ。役者の短所をも、映画の成功に導く工夫も見事だった。
サラ・コナー抹殺のための追跡プログラムの処理中に反撃を受け、髪と眉毛が焦げ、片方の眼がつぶれ、どんどん怖い顔になっていくターミネーター。正体を現しながら、ただひたすらプログラムを処理する姿は、まさにテクノロジーが生んだホラー映画でもある。

そして、金属の骨格だけになってもプログラムを実行し続けようとするターミネーター。
製作費が底をつき、ストップ・モーションアニメに予算をかけられなくなったため、ターミネーターの足を破損した事にし、ぎごちない動きをカモフラージュした工夫とアイデアは、苦肉の策だったという。(視覚効果担当はファンタシーII　フィルムエフェクツ社)
ターミネーターの制作と特殊メイクを手がけたのは、ジェームズ・キャメロン監督の盟友であり、のちに特殊効果の神様といわれるまでになるスタン・ウィンストン。

のちのシリーズでも影の主役となる重要なキャラクター、カイル・リースはマイケル・ビーン。
「エイリアン2」でもそれほど目立たず、本作以降決して作品に恵まれているとはいえないが、強い意志と知性、そしてナイーブで繊細な一面をもったカイル・リースは、まさにマイケル・ビーンのハマリ役だった。(特別編DVD収録の未公開シーンでは、カイル・リースの性格を垣間見る事が出来る)

そして、物語は新たな発想を加えた「ターミネーター2」へと続く…。
面白い脚本とアイデア、前作の創意工夫は変わらず、大きく違うのは、製作費が640万ドルから1億ドルへと跳ね上がった事。これで面白くならないわけがない。

ジェームズ・キャメロン監督は、瞬く間にハリウッドを代表するフィルムメーカーへと駆け上がっていくのだった…。

LD GALLERY

●国内初盤LD
1986年3月21日
Vestron Video International
＜G88F5338＞

トリミングTVサイズ(1:1.37)収録ジャケット表記107分チャプター無し。
ORION(オライオン)ピクチャーズ＋ヘムデイルHemdale Presents カンパニークレジット収録。
サイド1冒頭に劇場予告編収録
※下記特別編DVD(GXBA-15917)収録の劇場予告編と同じだがTVサイズトリミング版となる。
素っ裸のターミネーターの股間にボカシが入る唯一のディスクとなる。

オライオンピクチャーズはこちらもどうぞ→