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昭和ガメラシリーズ唯一の大人の鑑賞にも耐えうる作品。「大魔神」との2本立てで公開された。
シリーズでは、「対ギャオス」と並んで人気の高いガメラ対バルゴン。
バルゴンの背中のトゲから発する殺人虹光線に誘われ、回転ジェット音とともに現れるガメラ。
大阪城をはさみシネスコ画面の左右に対峙して睨み合うバルゴンとガメラ。
カッコいい怪獣映画には、必ずと言っていいほど、何度でも観たくなる名シーンがあるもの。
北極生まれだが炎を吐くガメラ、ニューギニア生まれだが冷凍液を噴出するバルゴンも、論理的にはかなり矛盾しているが、対照的な2匹の闘いを描くビジュアル的な効果は絶大だ。
ゴジラ映画とは違い、傷つき血を流す描写も当時のカルチャーからいって驚きだった。
精悍なガメラの造型も素晴らしく、次回作「対ギャオス」と共に、怪獣映画はイマジネーションが全てだという事をあらためて思い起こさせてくれる。
また、今となっては、ステレオタイプの登場人物と言わざるを得ないが、欲にかられた人間の愛憎劇は他のガメラ映画では見られない大きな特徴となっている。
暗いシーンの多い本作だが、黒ツブレもなく細部まではっきりと見えるのはさすがのハイビジョン映像。
ピアノ線も、着ぐるみの質感もハッキリと見えてしまっているが、手造り職人芸ともいえる日本特殊撮影技術の粋を見ることができ、逆に興味深い。
大映っぽい粗い特撮でガメラの炎などは思いっきり流れてしまっているが、それも味…。
※海外版はこちら→
ちなみにガメラシリーズの特殊撮影は大映の東京撮影所が担当したが、大魔神は同じ大映でも、その技術力には定評のあった京都撮影所が担当したものである。
※「大魔神」はこちら→
(2007/12/30) |
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2007年12月24日
WOWOW放送
アスペクト2.35:1 シネスコ 101分
1966年4月17日公開 大映作品
製作:永田雅一
企画:斎藤米二郎
監督:田中重雄
脚本:高橋二三
撮影:高橋通夫
音楽:木下忠司
特撮監督:湯浅憲明
出演:本郷 功次郎
江波 杏子
夏木 章
藤山 浩二
早川 雄三
見明 凡太郎 |
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