内田吐夢監督が、5年の歳月を費やして完成させた全5部作からなる傑作時代劇。
中でも、シリーズ第2作「般若坂の決斗」と、シリーズ第4作「一乗寺の決斗」は、特に人気の高い作品だ。
奇襲戦、心理戦、三十六計逃げるに如かず等、あらゆる兵法を駆使し、六十数度闘って、一度も負けた事がないとされる宮本武蔵。
宝蔵院の槍の使い手・阿巌との一撃必殺の勝負、三十三間堂での吉岡伝七郎との息詰まる対決、吉岡一門73人対武蔵の一乗寺下がり松での死闘、ご存知佐々木小次郎との巌流島の決闘等、中村錦之助=宮本武蔵のダイナミックかつ鬼気迫る殺陣は必見。
作品ごとに変わる殺陣のバリエーションも豊富で、時代劇の醍醐味が存分に味わえる。 |
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剣の道を極めんとする、そのストイックなまでの武蔵の生きざまが重厚なタッチで描かれていくが、野生児のような少年だった武蔵が、宗彰沢庵や日観、柳生石舟斎、本阿弥光悦などの師と出会う事により、人間的な成長を果たしていくさまも、また、ドラマチックに描かれる。
剣は所詮武器に過ぎないのか…?と迷う武蔵。
武門の習いというだけで、多くの命を絶ってもよいのか!と、吉岡一門の林吉次郎に詰問される武蔵。
原作にはない映画オリジナルの脚色が、武蔵の人間像に深みを与えている。
奈良の宝蔵院、日観(月形龍之介)の殺気に思わず身構えた武蔵は、それは己の放つ殺気が生んだ影法師、己の影に怯えているに過ぎないと悟される。
日観から告げられたその言葉に打ちのめされた武蔵は、剣で勝ちはしたが、人として負けた事を認める。 |
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殺るか殺られるか、いかなる時も、常に神経を張り詰めている武蔵。
島原遊郭の吉野太夫に、自由や変化に乏しいその脆い生き方を問われ、沈黙するのだった。 |
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そして、東映京都時代劇の素晴らしさを、細部まで堪能できるのがハイビジョン。
今も残る江戸末期の風景写真を見るかのような、江戸時代初期の美術セットは見事の一言。 |
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吉岡一門との確執から、遂に一乗寺下がり松で果し合いを行う事となった武蔵。
まだ子供であった吉岡源治郎を名目人としてたて、決闘におもむく吉岡一門73人。
対するは、武蔵ただ一人。
この圧倒的不利な状況に兵法家、宮本武蔵はどう闘うのか…?
八幡、命あっての勝負!
カラー映像がモノクロ映像に変わり、「宮本武蔵」シリーズ5部作の中で、最も有名かつ最高の殺陣といわれる一乗寺下がり松の死闘が、今、始まる! |
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※放送禁止用語の台詞は消去。また、4月5日(日)に放送されたシリーズ第1作「宮本武蔵」には、残念ながら地震テロップ表示が入ってしまった(再放送求む)。 |