棺桶を引きずりながら、泥だらけの荒野に現れる黒づくめの男、 ジャンゴ!
恋人を失った孤独なガンマンを唄いあげるマカロニ屈指の名曲 ルイス・エンリケス・バカロフ作曲、DJANGO
…
Django…
Django, have you always been alone
?
Django… Django, have you never
loved again ?
軽快で勇ましいテーマ曲とともに颯爽と現れるはずの主人公が、ぬかるんだ荒野を、ズルズルと棺桶を引きずりながら登場する伝説のオープニング。
そして、悪漢が銃を抜いてから撃つべし、としていたそれまでの西部劇のヒーロー像を覆し、生きるか死ぬかの決闘には、不意撃ちも良しとする掟破りのマカロニ・ウェスタンの定義を確立した男、ジャンゴ。
それでもまだ正統派西部劇の匂いを残していたレオーネ・イーストウッドコンビのマカロニ作品よりも、コルブッチ・ネロコンビの本作品を本当のマカロニ・ウェスタンとするファンも数多い。
ニューヨーク近代美術館にも永久保存されているマカロニの中のマカロニ!
「続・荒野の用心棒」 その名はジャンゴ!
元南軍アメリカ人のジャクソン少佐一派と、メキシコ人のウーゴ将軍一派が対立するメキシコ国境に近い小さな村に現れたジャンゴ。
ガトリックガン(※映画オリジナルのマシンガン)でジャクソン一派を皆殺しにし、旧知のウーゴ将軍に肩入れするとみせかけ、黄金を独り占めにしようとするジャンゴだったが、あとわずかなという所であえなく失敗。
半殺しにされ、両手を潰されてしまったジャンゴは、ウーゴ将軍一派との抗争から生き残ったジャクソン一味との最後の戦いに挑むのであった。
真実の愛を教えてくれたマリアの元に帰るために…
※フランコ・ネロの本名はフランチェスコ・クレメンテ・ジュゼップ・スパラネロ
※ムチ打ち、泥レス、底なし沼、なんでもありの展開だが、KKKのようなジャクソン一派の赤い頭巾の男達は、低予算のため人が足りず、同じ人物が何度も死ぬのを隠す為のものだった。また、エキストラの顔が、まとも過ぎていたからとも。
※ジョナサン神父の耳を切り落として食べさせようとする残酷シーンは、当時かなりの批判を受けイギリスでは25年間上映禁止だった。
ご存知のように「荒野の用心棒」(→詳細はこちら)の正式な続編ではないが、小さな村で対立する二つの勢力を利用する凄腕のガンマン、残酷なリンチシーン、墓場での撃ち合い、後に残るのは死体の山といった「荒野の用心棒」でみられたシチュエーションを多く引用し、「荒野の用心棒」のパラレルワールド的な世界を構築している。
もちろん、大元は黒澤明の「用心棒」なのだが(→詳細はこちら)、本作を観た黒澤明の心中はいかなるものだったであろうか…。
(2003.2.23アクション映画コーナーにて記載した文章に2009.02.11加筆修正)
1966年イタリア・スペイン合作(1966年9月日本公開)
B.R.Cプロフィルム/テシサ・プロ製作
製作・監督/セルジオ・コルブッチ 共同脚本/フランコ・ロゼッティ他
撮影/エンツォ・バルボー二 美術・衣装/ジャンカルロ・シーミ 音楽/ルイス・エンリケス・バカロフ
出演/フランコ・ネロ ジェーネ・ベルフォーツ ロレダナ・ルシアク ホセ・ボダロ エドアルド・ファハルド |