●DRAMA ドラマ
 
●春の珍事 IT HAPPENS EVERY SPRING
●春の珍事
国内盤DVD【初ソフト化作品】
2013年12月25日 ジュネス企画<JVD-3294>
国内初ソフト化作品 コードフリー メインメニュー・チャプターメニュー付
■本編/本編86分37秒版 オリジナルスタンダード(1.37:1)サイズ収録
※本編マスターは下記米国盤DVDをコピーしたもののようで、ややフォーカスが甘い。
■音声/英語モノ(ドルビーデジタル)
■字幕/日本語 ON・OFF可
■特典映像/スタッフ・キャスト紹介(ロイド・ベーコン監督、レイ・ミランド、ジーン・ピータース、ポール・ダグラス静止画文字情報)
クラシック映画DVDカタログとしてジュネス企画リリースDVD商品300作品掲載のブックレット封入。
米国盤DVDは、Twentieth Century Foxがオンデマンド方式で販売するDVD-Rプレス商品。
※オンデマンドは受注生産方式で、大量なセールスは望めないが一定の需要があるマニア向けの商品となり、日本でもアマゾンジャパンやTSUTAYA等が行っている。

コードフリー
■本編/本編86分38秒版 オリジナルスタンダード(1.37:1)サイズ収録
■音声/英語モノ(ドルビーデジタル)
■字幕/無し
■特典映像/無し

トップメニューのみ。一応、10分ごとにチャプター入り。
●IT HAPPENS EVERY SPRING
米国盤DVD 2012年11月27日
Twentieth Century Fox Film Corporation
<FOX CINEMA ARCHIVES>
1949年製作。ロイド・ベーコン監督作品。
主演は1945年「失われた週末」でアカデミー主演男優賞を受賞したレイ・ミランド(X線の眼を持つ男→こちらもご参考)。

木材をはじく性質を持った薬品を偶然に発見した野球好きの化学教授。薬品を野球ボールに塗ってバットをよける魔球として利用、単身メジャーリーグ入りし連戦連勝を重ねる。

液体を浸した布切れを穴の開いたグローブの下に隠し、こっそりとボールに塗るという、いわゆるスピットボール。現代スポーツにおける不正行為を題材とした映画ではあるが、所詮はコメディ映画。
そこまで堅く考える必要もなく、ぎこちない投球フォームから投げられる魔球は、野球好きな人間であれば誰でも笑ってしまうほどの小気味良さ。とにかくこの薬品を塗ったボールがバットをヒョコヒョコとよけてしまうビジュアル的な面白さの前には、そんな事も霞んでしまうのだ。
(CGなど無い時代、ボールが跳ね上がる映像はアニメーション)

この薬品を整髪剤と思って頭につけてしまった同僚の髪の毛が、木材に反応してバリバリと逆立つシーンなどのユルユルギャグも笑える。

国内では何度かテレビ放映され、記憶に残っているファンも多いと思う。
個人的にも「春の珍事」と「最後の航海」「日本人の勲章」がテレビ放映により強烈に記憶に残っているが、何故か国内ソフトリリースされないマイ三大作品だった。

ジュネス企画というマイナーメーカーからのリリース。
テレビ放映時の吹替えが収録されていないのが残念だが、ビデオ、LD含めても初ソフト化となり、まずはリリースされただけでも良しとしたい。映像も古いモノクロ作品という事を差し引いても、DVDの画質としてはそれほど悪いという印象は受けない。

そしてもう一つ、野球ファンの記憶に残る理由としては名作スポ根漫画「巨人の星」、星飛雄馬が投げる大リーグボール3号。バットをよける魔球の元ネタともいわれている点だ。
実際、漫画の中にもこの映画の話がでてくる。飛雄馬の投げたボールは“まるで「春の珍事」という映画に出てくるバットをよける魔球のようだった"という話で、本映画のストーリーが語られるもの。
もちろん飛雄馬の投げるアンダースロー魔球はスピットボールではなく、プロの強打者のバットスイングによる風圧でボールが浮くという、それなりの説明がなされているが、ボールの軌道は「春の珍事」の魔球と同じ。
ちなみに大リーグボール3号、バットをよける魔球の秘密。物質の重さを無視したこの理論を解説者の野村克也が鼻で笑った(…らしい)。

突然現れた名も知れぬピッチャーがシーズンに30何勝を上げても、本来の大学教授という素顔がわからないという不自然さも誰も気にせず。
劇中、野球中継をラジオで聞くシーンがあり、テレビもまだ普及していなかった頃の今よりもおおらかな時代の話。ここはひとつ観る側も、肩肘はらずライトな笑いを楽しむとしよう。

珍しい事が起こり、決して長くは続かない「春の珍事」というタイトル通り「ひとときの夢」を楽しみたい。(2015.03.15)
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