デッドゾーン
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予言者か狂信者か、真実か妄想か。

特殊・異常な能力を持つがゆえ、人間性を失わずとも好奇の眼で見られ、悪魔、化け物と迫害、否定される悲哀。
スティーブン・キングの卓越したストーリーテリングとクローネンバーグ独自のテーマが見事に融合。
今にも壊れそうなクリストファー・ウォーケンが「ディア・ハンター」と並ぶベストアクトをみせる。

交通事故による5年の昏睡状態から目覚めた時、彼には絶望と孤独が待ち受けていた…。
仕事をなくし、将来を誓い合った恋人はもはや人の妻。
どうにもならない運命を恨む高校教師ジョニー・スミス(クリストファー・ウォーケン)は、自身の身にも大きな変化が起きている事に気づく。
自分の意志とは無縁に、触れた人間の記憶、未来、身近に起こる出来事を透視する能力が身についていたのだ。

人知を超えた能力は神からの授かりか、悪魔の使いか。
この特殊な能力は、ますます彼を社会から孤立させるのだった。

そしてある日、ジョニーは核ミサイルのスイッチを押す次期大統領候補グレッグ・スティルソン(マーティン・シーン)の未来の姿を予知してしまう。
“戦前のドイツで若き日のヒトラーに出会い その未来がわかったとしたらどうするか？”
すべてはいくつもの偶然がおこした必然なのか…
ジョニーは人知れずある決意を固めるのだった。

原作では、脳腫瘍による遅からぬ死がジョニーに大統領候補暗殺という直接的な行動を起こさせるが、映画ではジョニーの主治医でもあり理解者でもあるサム・ウイザック博士(ハーバート・ロム)との会話の中で偏頭痛に悩まされ死が近い事を予期するようなジョニーの台詞はあるものの、脳腫瘍の説明はない。
もちろん死を覚悟しての行動に違いはないのだが、じきに死ぬという運命をはっきりと観る者に伝えていない分、ジョニーの悲劇性は強調されている。
また、ウイザック博士の言葉に決意を固めるような描写もあるが、映画を観る限り、何かもっと別の大きな存在によって突き動かされているかのようにみえ、自分を超えて行動する、悲しく美しい男の物語としても深く心に残る。

ジョニーの孤独と絶望を表現するかのような、寒く冷えびえとした冷気が映画をつらぬく。
SF・サスペンスの枠を超えたまさに一級の人間ドラマをみる思いだ。

自らが体験するように透視するシーンは当時かなり斬新だった。
また、映画版「リング」で高山竜司が、相手の手を握り透視するシーンは本作からの引用。中田秀夫監督は参考にした映画があるとインタビューで答えているが、誰がみても本作なのは明らか。

第12回アヴォリアッツ ファンタスティック映画祭（1984年）批評家賞、黄金のアンテナ賞、 ヒッチコック・サスペンス賞受賞
デヴィッド・クローネンバーグ監督としては、初めて興行的な成功をおさめた作品であった。
また、キング原作映像化作品として最も評価の高い作品で、クローネンバーグは本作にて一気にメジャー監督となる。(2012.06.03)
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VHS & LD GALLERY
●米国盤LD
1984年
Paramount HOME VIDEO
＜LV 1646＞
・サイド-1 本編 50分46秒
・サイド-2 本編 52分50秒
本編合計 103分36秒(実測)ノーカット版
※冒頭・巻末のパラマウントマーク部分含む
(ジャケット表記104分)
“Dino De Laurentiis PRESENTS”クレジット表記
1983年カナダ・アメリカ製作。アメリカでは同年10月に公開。
アメリカではすでに1984年にLDリリースされていた。

撮影はスーパー35方式を使用していると思われ、スタンダードサイズ(1.33：1)収録のLD・ビデオでは、アメリカン・ビスタ(1.85:1)で収録されているDVDよりも天地の情報量が多く、逆に左右の情報量はやや少ない。
PALマスターを使用している国内初盤LDよりも画質は鮮明。DVDの画質とは比較にはならないがスタンダードサイズで観られるディスク映像としては最良のものとなる。
LDの画質は全体的に色が浅い。
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●国内初版VHS
1987年 東北新社
＜TS-F709＞
本編：99分18秒(実測)
※冒頭・巻末のパラマウントマーク表記含む
“PRODUCED IN ASS0OCIATION WITH Lorimar Productions、Inc.”クレジット表記
(パッケージ表記101分)
映像は下記国内初盤LD＜KILF-5013＞同様、PALマスター早回し版。VHSビデオという事で解像度はかなり劣る。
※米国盤LD＜LV 1646＞では冒頭のパラマウントマークに続くクレジット表記は“Dino De Laurentiis PRESENTS”だったが、本ビデオと国内でリリースされたLDはすべて“PRODUCED IN ASS0OCIATION WITH Lorimar Productions、Inc.”となっているので、完全にマスター違いという事がわかる。

1983年10月のアメリカ公開当時、日本ではまだまだ無名に近かったクローネンバーグ監督。ネームバリューの低さと、小品な作風が影響しての事か、日本での劇場公開は見送られ映画会社の倉庫行きとなる。
そして1986年8月15日よりアメリカで公開され大ヒットしていた「ザ・フライ」により、国内でも過去のクローネンバーグ監督作品が注目され、アメリカ公開から4年後の1987年にしてようやく「クローネンバーグのデッド・ゾーン」として東北新社よりビデオリリースされる運びとなった。

1987年といえばビデオデッキの普及によりレンタルビデオショップが急激に普及しはじめた頃で、リリースされるやいなやすぐに国内劇場未公開の隠れた名作として話題になり、レンタルビデオのクチコミなどからも人気に火がついた。
また、「ヴィデオドローム」の輸入版ビデオがカルト作品として話題になったのもこの頃。
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●国内初盤LD
1991年1月21日
発売：東北新社
販売：キングレコード＜KILF-5013＞
・サイド-1 本編　48分40秒
・サイド-2 本編　50分34秒
本編合計 99分14秒※実測(ジャケット表記101分)
本編尺が短いが、PALマスター使用による早回し版のためでカットされている部分はない。

上記国内初版ビデオ＜TS-F709＞同様、“PRODUCED IN ASS0OCIATION WITH Lorimar Productions、Inc.”クレジット表記だが、何故か冒頭のパラマウントマーク部分約10秒は無音黒画面のまま消去。巻末のパラマントマークもカットされている。

上記米国盤LD＜LV 1646＞とはマスター違い。やや発色が良いようだがボケ気味で鮮明さに劣る。
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●デヴィッド・クローネンバーグ
セレクションボックス
国内盤LD-BOX
1996年6月25日
バンダイビジュアル＜BELL-920＞
・サイド-1 本編　55分53秒
 ・サイド-2 本編　47分36秒
本編合計　103分29秒※実測(ジャケット表記103分)
※冒頭のパラマウントマーク表記含む。

“PRODUCED IN ASS0OCIATION WITH Lorimar Productions、Inc.”クレジット表記のニューマスター仕様だが、PALマスターではないので本編103分29秒分ノーカット通常版となる。

一見発色がよさげだが、黄色が強く暗部の黒つぶれも目立つ。映画の持つ寒々とした雰囲気には合わない。

スタンダードサイズ収録で画角は米国盤LD＜LV 1646＞、国内初盤LD＜KILF-5013＞と同じ。

冒頭にパラマウントマーク挿入、巻末のパラマウントマークはカットされ、アメリカ公開オリジナル予告編(2分07秒)が収録されている。「デッドゾーン」のオリジナル予告編は現状、1種類しか存在しないようだ。
各米国・国内盤DVDに収録されている予告編より画質は劣るが、スタンダードサイズで収録されているため天地の情報量が多い。左右の情報量は同じなのでDVD収録のビスタサイズの予告編はスタンダードサイズの天地を単純にトリミングしたものとなる。

■音声:ドルビーサラウンドステレオ

■映像特典(DISC3「ザ・ブルード」巻末に収録)：
・「デッドゾーン」インタビュークリップ(16分42秒)(スタンダードサイズ)収録。
デヴィッド・クローネンバーグ、デブラ・ヒル(プロデューサー)、マーティン・シーンへのインタビュー映像
※国内初盤DVDデラックス版＜PIBF-1341＞に収録されているインタビュークリップとサイズ・画質ともに同じ。
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DVD GALLERY
●米国初盤DVD
2000年9月19日
Paramount Pictures＜01646＞
■本編：103分38秒 アメリカン・ビスタ(1.85:1)スクイーズ収録
 ■音声：英語5.1chサラウンド／英語ドルビーサラウンド／フランス語
難聴者向け英語字幕付

“Dino De Laurentiis PRESENTS”クレジット表記。
スタンダードサイズで収録されていたLDよりも天地の情報量はカットされているが、16対9のワイド画面を有効に使ったスクイーズ映像の画質は、もはやLDなど比較にならない程、向上。まったく違う映画のような印象を受ける。

■特典映像
・オリジナル予告篇(2分13秒) ビスタスクイーズ収録
・チャプター付
※上記国内盤LD-BOX＜BELL-920＞、下記国内初盤DVDデラックス版＜PIBF-1341＞に収録されている「デッドゾーン」インタビュークリップ(16分42秒)は未収録。
 
●国内初盤DVD デラックス版
2001年4月25日
パイオニアLDC＜PIBF-1341＞
■本編：103分37秒 アメリカン・ビスタ(1.85:1)スクイーズ収録
 ■音声：5.1chサラウンド
※日本語吹替音声未収録

本編マスターは上記米国初盤DVD＜01646＞と同じ。

■特典映像
・オリジナル予告篇(2分13秒) ビスタスクイーズ収録
・「デッドゾーン」インタビュークリップ(16分42秒)スタンダードサイズ収録
 ※上記国内盤LD-BOX＜BELL-920＞に収録されているインタビュークリップとサイズ・画質ともに同じ。
・キャスト、スタッフ、解説 静止画日本語文字情報
・チャプター付
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●米国再発盤DVD
SPECIAL COLLECTOR'S EDITION
2006年9月26日
Paramount Pictures＜11835＞
■本編：103分38秒 アメリカン・ビスタ(1.85:1)スクイーズ収録
 ■音声：英語5.1chサラウンド／英語2.0ドルビーサラウンド／フランス語
難聴者向け英語字幕付

本編マスターは上記米国初盤DVD＜01646＞、国内初盤DVDデラックス版＜PIBF-1341＞と同じ。
■特典映像
 ・Memories From The Dead Zone(12分18秒)
・The Look of The Dead Zone(9分24秒)
・Visions and Horror From The Dead Zone(9分43秒)
・The Politics of The Dead Zone(11分33秒)
※クローネンバーグ監督、サラ役のブルック・アダムス、編集ロナルド・サンダース、作家・評論家・伝記作家ダグラス・E・ウィンター、撮影マーク・アーウィンらスタッフ、キャスト、関係者らへのインタビュー、メイキングスチールなどで当時の製作状況を振り返るドキュメント。いずれも2006年につくられたドキュメンタリーで、本DVDのみに収録されている特典映像となる。ちなみにクリストファー・ウォーケンはインタビュー映像には一切登場しない。スタンダードサイズ収録(一部天地黒帯ビスタ)
・Previews(1分50秒)
※「スター・トレック」全シリーズ、「4400 未知からの生還者」シーズン2 DVDリリース予告
・オリジナル予告篇(2分14秒)ビスタスクイーズ収録
・チャプター付
※上記国内初盤DVDデラックス版＜PIBF-1341＞に収録されていたインタビュークリップは未収録。
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●国内再発盤DVD
2011年10月5日
キングレコード＜KIBF 949＞
初回封入特典／劇場公開チラシ縮刷版
※1987年1月「ザ・フライ」国内劇場公開後の同年6月6日、渋谷ユーロスペースにて
劇場公開された際の縮刷版チラシが初回特典として封入。
■本編
103分37秒ビスタ(1.85:1)スクイーズ収録
本編マスターは上記米国初盤DVD＜01646＞、国内初盤DVDデラックス版＜PIBF-1341＞、米国再発盤DVD SPECIAL COLLECTOR'S EDITION＜11835＞と同じ。

HD画質を見慣れた今となっては、動きの激しいシーンなどにおける解像度の間引き感も気になるが、いずれにせよ次はブルーレイ。さらなる高画質感に期待がかかる。
また、ジャケットデザインがすべて違うというコレクター泣かせのソフトでもあるが、ブルーレイも当然変えてくるだろうと予想する…。

■音声
・オリジナル英語ドルビーデジタル5.1ch
・テレビ放送版日本語吹替音声(初収録)ドルビーデジタルステレオ
ジョニー(クリストファー・ウォーケン)…野沢那智／サラ(ブルック・アダムス)…土井美加／スティルソン(マーティン・シーン)…富山敬／ウィーザック(ハーバート・ロム)…内田稔／バナーマン(トム・スケリット)…坂口芳貞／ロジャー(アンソニー・ザーブ)…小林修／ヘンリエッタ(コリーン・デューハース)…麻生美代子／フランク(ニコラス・キャンベル)…大滝進矢
※カットされたシーンは英語音声となり日本語字幕対応となるが、ジョニーが連続殺人事件に力を貸すため殺害現場のトンネル内を探るビジュアル的に印象的なシーン、次期大統領候補グレッグ・スティルソンが行う隠蔽工作がまるごとカットされていた事がわかる。
ちなみに2008年5月12日(月)、東京12ch「午後のロードショー」(関東地区)にてテレビ放映された吹替版の映像はDVDで使われたビスタサイズの左右を切ってスタンダードサイズにトリミングしたもので、吹替音源は本DVD収録のものと同じ。

■特典映像
・オリジナル予告篇(2分13秒) ビスタスクイーズ収録
・チャプター付
※上記国内初盤DVDデラックス版＜PIBF-1341＞に収録されていたインタビュークリップ、キャスト・スタッフ・解説は未収録。
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