仁義なき戦い (2011.03.05)
▼仁義なき戦い ▼広島死闘篇 →代理戦争 →頂上作戦 ▼完結篇
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こんクサリ外道が!
殺れい!殺ったれい!

「仁義なき戦い」 -広島やくざ流血20年の記録-

衝撃的な登場だった。
手持ちカメラによるドキュメントタッチでリアルな暴力描写、スピーディでダイナミックな展開。強烈な広島弁と荒々しく鳴り響くトランペット。そして主要人物が次々と死んでしまう展開に当時の映画ファンは度肝を抜かれた。

深作欣二をトップディレクターに、菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫ら主演俳優を一躍スターダムに押し上げた実録やくざ映画の金字塔。(脚本は笠原和夫、音楽は津島利章)
以降、戦後日本の裏社会史(1946年‐1956年)を描いた群像劇としてオリジナル五作品が作られ、日本映画史に残る傑作シリーズとなった。

■仁義なき戦い シリーズ第一作(1973年1月13日公開)


1946年(昭和21年)〜1956年(昭和31年)2月


第一作は広島県呉市で起こった山守組・上田組連合と土居組との勢力争い、そして呉市を制した山守組が勢力を拡大し、主流派、組長派、反主流派へと分裂していく内部抗争の過程が描かれていく。

"いたしいことしてくれたよのう 銭になりもせんことしやがって"
"ワシを男にしてくれ、そんかわりな、お前が無期か20年ぐれえの刑で帰ってこれたら、そんときゃあな、ワシの全財産をお前にくれちゃる"


血気はやる若者たちの虚栄心を巧みに利用し、勢力を拡げていく山守組々長 山守義雄(金子信雄)

"ワシまで信用できんよう なっちょるんか"
"だいたいワシら山守から盃貰うたんはよ お互いに殺し合う為じゃなかった筈じゃ そうじゃろうが"


度胸もあり義理堅いが、直情型の広能昌三(菅原文太)
山守にその性格を読まれ、うまく利用されてしまう。ある意味、健さん、鶴さんの東映仁侠映画の流れを汲む主人公に近く、義理人情から銭もうけのビジネスへ体質変化したやくざ世界に、彼の居場所はあるのだろうか…
「仁義なき戦い」シリーズは、彼、広能昌三を通して、やくざの世界。いやっ、裏切り・復讐・謀略といった人間社会そのものの暴力をあぶりだしていくのだ。

"山守の下におって、仁義もクソもあるかい"
"現実ゆうもんはの おのれが支配せんことには どうもならんのよ"


広能昌三とともに山守組の勢力拡大に貢献した若頭 坂井鉄也(松方弘樹)
内部抗争の末、狡猾な山守を引退に追い込み、自ら坂井組を結成しようとするが、"出る杭は打たれる"の如く、山守の差し金による銃弾にあえなく倒れる。

"誰も始めから極道者じゃ云うとるかい。ま、ワシについてこいや"
"ワシがやらにゃ、格好つかんじゃろ"


広能昌三と獄中で兄弟分の契りを交わす 若杉寛(梅宮辰夫)
広能が兄貴と慕う沈着冷静で昔気質のやくざだが、土居組若頭という立場が彼の運命を大きく変えてしまう。

そして、敵方のリンチに屈し仲間を裏切る神原精一(川地民夫)
広能の復員仲間で後に坂井の右腕ともなるやくざとしては温和な山方新一(高宮敬二)
山守にすりよる抜け目ない槇原政吉(田中邦衛)
坂井に反目し槙原と同じ組長派となる矢野修司(曽根晴美)
主流派の坂井と対抗する反主流派の新開宇市(三上真一郎)
(※本編テロップには新開宇市と表記されるがDVD等のキャストクレジットには新開宗市と表記)
その舎弟で新開組きっての凶暴な幹部有田俊雄(渡瀬恒彦)
上田組初代組長のちに山守組の舎弟となる武闘派上田透(伊吹吾郎) など…

戦後のヤミ市の混乱からのしあがって来た彼ら山守組の男たちが勢力拡大につれて巻き起こす、殺るか殺られるかの群像劇が鮮烈に描かれる。

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●国内初版VHS 発売&レンタル
1987年12月11日 東映ビデオ<TE-B298>
発売当時のブラウン管テレビ(4:3)向け用の調整だろう、シネスコ画面の左右をトリミングしたビスタサイズにて収録(※ジャケット裏に画面効果上ビスタサイズにて収録の注釈あり)。
画面もかなり明るくコントラストも平板だが、マニアにとってはこれはこれで貴重なものとなる。
巻末にシリーズ第二作「広島死闘篇」のオリジナル劇場予告篇のみ収録。
15,000円とかなりの高額だが主にレンタルビデオショップのマストアイテム商品で、いつもレンタル中だった。

※写真下はビデオリリース時に店頭販促用として配布されたミニブック。ビデオリリースが遅れた理由、各作品の解説、抗争図等が記載された資料性が高いグッドアイテムだった。
※VHS版としては1996年7月21日に3800円の廉価版(VCTB00298)が再発済み。
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●国内盤LD
1991年12月21日 東映ビデオ<LSTD01006>
本編99分 CLV シネスコ 2面 モノラル音声

本編前に「仁義なき戦い」、巻末にシリーズ他4作品のオリジナル劇場予告篇収録。
名場面・名セリフ集・チャプター解説付ジャケットサイズ解説書封入。
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●国内初盤DVD
2001年8月10日
東映ビデオ<DSTD02026>
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※再発廉価盤DVD(3150円)
2006年12月8日
東映ビデオ<DCTD02026>
本編98分54秒 シネスコスクイーズ(1:2.35) 日本語モノラル音声 チャプター

●映像特典

・オリジナル劇場予告篇(左右を多少カットしたシネスコスクイーズ収録 3分14秒)
※未使用テイク(山守組によるヤミ市での襲撃シーン?)、別テイク(広能による土井組々長射殺シーン)など貴重な映像が収録。
・抗争関係図&主要人物紹介(静止画スチール)

本シリーズのプロデューサー日下部五朗氏のインタビューによると、当初、菅原文太が演じた広能昌三は渡哲也、金子信雄が見事な役作りで演じた狡猾だがどこか憎めない山守義雄は三国連太郎(代役としては西村晃)がキャスティングされていた。 また、広能役の菅原文太と坂井役の松方弘樹の配役が逆だったともいう。

なお、国内盤DVD(国内再発版VHS)ジャケット裏のキャスト一覧に小松方正の名前があるが、小松方正は第一作には出演していない。
当時の劇場用ポスターには小松方正の名前はあるが、公開間近の新聞広告からは無くなっている。これは、高野真二が演じた呉市議会議員金丸昭一(松方弘樹扮する坂井鉄也に拉致、監禁される人物)を小松方正が演じる予定だったものが急遽変更された事によるもの。(※小松方正は次作「広島死闘篇」にて広島市議会議員・南良坂誠役で出演している。)
DVDジャケット製作時に映画ポスターのクレジットをそのまま引用した事が原因と思われる。(初版VHS・LDには詳細クレジット表記は無い。)

また、シリーズ第五作まですべて同じ役で登場するのは広能昌三(菅原文太)と山守義雄(金子信雄)。そして役柄はまったく同じだが、第五作「完結篇」のみ(第四作「頂上作戦」で重傷を負ったというテロップを表示したためか)、役名が水本登に変更されている広能組の若衆・岩見益夫(野口貴史)の3人となる。※山守の妻利香(木村俊恵)は「完結篇」に、また槇原政吉(田中邦衛)は「広島死闘篇」には登場しない。
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米国盤DVD-BOX THE YAKUZA PAPERS
●THE YAKUZA PAPERS
BATTLES WITHOUT HONOR & HUMANITY
米国盤DVD 初回限定スチールケース仕様
2004年12月14日
HOME VISION ENTERTAINMENT <YAK 010>
「仁義なき戦い」オリジナルシリーズ5作に特典映像ディスクをプラスした米国盤のみのDVD6枚セットボックス(デジパック仕様)。
初回版のみブックケースがスチール製で固い。

シリーズ全作の日本版ポスターをあしらったジャケットサイズ16ページ、シリーズ全作の抗争関係図を6ページ見開きで紹介した2種類のブックレット封入。

「仁義なき戦い」米国でのシリーズタイトルは"THE YAKUZA PAPERS"。これはテレンス・ヤング監督、チャールズ・ブロンソン主演「バラキ」の原題"THE VALACHI PAPERS"から引用したもの。
【VOLUME 1】
BATTLES WITHOUT HONOR & HUMANITY (仁義なき戦い)

【VOLUME 2】
DEADLY BATTLES IN HIROSHIMA (広島死闘篇)

【VOLUME 3】
PROXY WAR (代理戦争)

【VOLUME 4】
POLICE TACTICS (頂上作戦)

【VOLUME 5】
FINAL EPISODE (完結篇)
各作品とも国内盤DVDとマスターは同じだが、新たにレストア処理を施しているようだ。
「仁義なき戦い」シリーズは、元々ドキュメントタッチの粒子の粗い映像だが、国内盤DVDよりも鮮明になっている。特に「広島死闘篇」の暗いシーンあたりは、デジタル処理補正の強さを感じるもののかなり明るく見やすくなっている。

コード1、スクイーズ仕様、日本語ドルビーデジタル2.0chモノ音声、英語字幕ON・OFF可

■各ディスク共通特典
●シーンセレクション(チャプターメニュー)
●TRAILERS & FILMOGRAPHY

・シリーズ全五作オリジナル劇場予告篇(スクイーズ収録)
・STREET MOBSTERS「現代やくざ・人斬り与太」劇場予告篇(ノンスクイーズ収録 2分42秒)
・GRAVEYARD OF HONOR「仁義の墓場」劇場予告篇(スクイーズ収録 3分32秒)
・深作欣二監督作品紹介(静止画&文字)

■特典映像ディスク
・FRIEDKIN ON FUKASAKU(スクイーズ収録 9分25秒)
本編映像、スチールをはさみながら深作欣二監督から受けた影響について語るウィリアム・フリードキン監督。2004年、American Society of Cinematographers (ASC)によるインタビュー。英語音声のみ。
・JITSUROKU: Reinventing a Genre(スタンダードサイズ収録 19分28秒)
映画評論家山根貞夫、深作欣二監督の息子深作健太、映画監督阪本順治、東映プロデューサー佐藤雅夫らが「仁義なき戦い」が生まれた時代背景、大ヒットした理由、深作欣二監督のコンセプトなどを語る。貴重なメイキングスチールも見られる。(2004年米国盤DVDリリース時に東京で新たに収録されたインタビュー映像のようだ。)
・BORYOKU: Fukasaku and the Art of Violence(スタンダードサイズ収録 12分07秒)
何故、バイオレンスを描くのか?深作欣二監督自身が語る貴重な1975年のインタビュー映像の他、映画監督黒沢清、LINDA HOAGLUND(日本映画のエキスパート)らが深作欣二監督のバイオレンス表現について語る。
そして、本ドキュメンタリー最後に「県警対組織暴力」の"取調室での暴行シーン"を演出中の深作欣二監督のメイキング映像が見られる。
川谷拓三(&ピラニア軍団)がブレイクするきっかけともなった名シーンだが"拓ボン、逃げる、ひっくり返る、逃げる"などと説明しながら、汗だくの川谷拓三を演出するメイキングフィルムはかなり貴重だ。

・KANTOKU: Remenbering the Director(スタンダードサイズ収録 20分40秒)
深作健太、山根貞夫、佐藤雅夫による"深作欣二監督について語る"座談会形式のドキュメンタリー。
・KAPLAN ON THE YAKUZA(スタンダードサイズ収録 12分15秒)
"YAKUZA: JAPAN'S CRIMINAL UNDERWORLD"の共著者David KaplanがYAKUZAについて語る。英語音声のみ。
・TRANSLATING FUKASAKU(スタンダードサイズ収録 10分39秒)
日本映画の翻訳家、通訳のLINDA HOAGLUNDが、深作欣二監督との仕事と思い出を語る。英語音声のみ。
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国内盤Blu-ray BOX
●国内盤Blu-ray BOX
2013年3月21日
東映ビデオ
<BSTD03630>
●ブックレット「仁義なき戦い 解説/資料篇」
●シリーズ唯一のパンフレット「頂上作戦」(縮小復刻)
●パンフレット・ロビーカード収納ケース
■Blu-ray BOX封入特典
●ブックレット「仁義なき戦い 解説/資料篇」(24ページ)
●縮小復刻「仁義なき戦い 頂上作戦」パンフレット(28ページ)
●縮小復刻パンフレット付属ポスター
●縮小復刻ロビーカード 5作品×各6枚(全種30枚)
※個人的に「仁義なき戦い」シリーズは映画館では観ていない(…というか恐くて観に行かれなかった)ので、こういう宣材の特典、特にロビーカードは非常にうれしい。これだけでも購入する価値があると思う。
●パンフ付属ポスター(縮小復刻)
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●ロビーカード<仁義なき戦い>(縮小復刻)
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●BONUS DISC
特典ディスク(2枚組)
仁義なき戦い 総集篇
Bru-ray DISC
東映ビデオ<BSSD11003>
−映像:本編223分49秒(3時間43分49秒) シネスコ(1:2.35) 1080p Hi-Def AVC
−音声:ドルビーTrueHD(日本語モノラル)
チャプター、メインメニュー・ポップアップメニュー機能付


第一部:1時間59分55秒「仁義なき戦い」「広島死闘篇」まで〜休憩
第二部:1時間43分54秒 「代理戦争」「頂上作戦」まで(※「完結篇」はエンディングナレーションのスチール写真部分をそのまま本作のエンディングとして流用のみ)

1980年4月5日劇場公開作品
ポスター等では深作欣二監督・編集と謳われているが、実際には深作欣二監督は角川映画「復活の日」の長期海外ロケのため本作にはノータッチ。
「代理戦争」「頂上作戦」のチーフ助監督 土橋亨が編集から仕上げまでを行った。
「頂上作戦」までのシリーズ四作の所々をカットして繋いだ大いなるダイジェスト版となる。かなりカットされているのでストーリーを追って観るのは難しく “あんたら、見とった通りじゃ…”というように、まさに眼前で繰り広げられるバイオレンスな群像劇を体験する映画といえる。
「ゴッドファーザー・サガ」のような未公開シーンを加えた編集違いがあるわけではないが、3時間43分49秒という長尺。 ブルーレイとなり、ディスク交換する事なくドップリと「仁義なき戦い」の世界に浸れるのだ。

今までは名画座やオールナイト上映、東映チャンネルなど一部でしか観る事が出来なかった本作。初ソフト化といっても特典ディスクで非売品。まだまだレア度は高いと思う。

オリジナル版より画質は劣る。東映チャンネルで放送されたHDマスター版もほぼ同じ画質なのでマスターの状態によるものだろう。編集の際に何らかの理由で画質が劣化したものと考えられる。
現在の技術をもってすればオリジナル原版から再度編集し直した高画質版を作ることも可能だろうが、映像的にはこれといった特別な付加価値は見いだせない本作ゆえ、むしろソフト化されただけで良しとしよう。
“仁義なき戦い”を作った男たち
DVD DISC
NHKエンタープライズ<DSSD11004>
ETVスペシャル2003年5月3日放送
−映像:89分08秒 スタンダード(1.33:1) MPEG-2
−音声:ドルビーデジタル ステレオ
再生開始用トップメニューのみ


誰も作った事のない映画、誰も観た事がない映画。 しかもそれがとてつもなく面白い。
公開当時、今までの概念にあてはまらない日本映画の登場に映画ファンは度肝を抜かれ、評論家はどう評価してよいか困ったという。当時キネマ旬報編集長 白井佳夫はまさに日本映画のルネッサンスだったとも語る。

そして「仁義なき戦い」フリークの映画監督・井筒和幸、映画評論家・山根貞男を迎えての座談会では「仁義なき戦い」の面白さの秘密、どこが今までの映画と違っていたのかを検証。
日本のアウトロー映画の歴史を振り返りながら「仁義なき戦い」が製作されるに至った背景を探る。

脚本・笠原和夫2002年12月12日、監督・深作欣二2003年1月12日。放送前に相次いで逝去した二人への哀悼の意も込めた内容となっているが、NHKがやくざの世界を題材とした映画のドキュメンタリーを製作するという事自体驚くべき事だと思う。
「仁義なき戦い」がやくざを美化した映画ではなく、不毛なる暴力の応酬を描いた反面教師的な映画であると同時に、終戦直後、何物にもとらわれない自由な生き方を模索した日本の若者の青春群像劇であると判断したからに違いない。
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●国内盤Blu-ray BOX
2013年3月21日
BOX封入盤・単品盤
同時発売
東映ビデオ<BSTD02026>
−映像:本編99分00秒 シネスコ(1:2.35) 1080p Hi-Def AVC
−音声:ドルビーTrueHD(日本語モノラル)
チャプター、メインメニュー・ポップアップメニュー機能付


●映像特典

・オリジナル劇場予告篇(フルシネスコ・HD画質 3分14秒)
【HD画質初収録】
※未使用テイク(山守組によるヤミ市での襲撃シーン?)、広能による土井組組長射殺シーン別テイク映像が見られる劇場予告編がフルシネスコサイズ・HD画質にてリニューアル収録。

国内盤DVDは赤がにじんだような映像でピント甘め。さらにオープニングクレジット部分のみ左右に若干黒帯が表示され画質も劣っていたが、本ブルーレイ盤では新たなHDマスターを使用。オープニングクレジット、本編ともに解像度が上がり鮮明になった。

シリーズ全作を通して発色は抑えめの落ち着いた画質。その分、ざわついたような独特のドキュメントタッチの映像感は薄れているが、グレインが適度にのったフィルムライクな画質は見るに心地良い。
フィルム自体に起因するものかもしれないがクレジットタイトル部分にやや揺れのようなものも見られるが、それも充分に許容範囲。レストア処理も丁寧に行っているようで、SD画質の米国盤DVD(YAK 010)よりも、もちろんクォリティは高い。
タランティーノなど世界の映像作家に多大な影響を与えた日本を代表する作品としては、国内盤DVDの画質レベルでは役不足。ようやくの高画質感に溜飲が下がる思いだ。

ちなみに東映チャンネルHD放送版は第一作のみ左右に若干黒帯が表示されるシネスコ画面でやや映像面積が小さい。またビットレートが低い分、本ブルーレイ盤よりも解像度は劣る。特に暗いシーンなどでの黒にじみなどにその差がはっきりとでている。
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●「仁義なき戦い」40周年記念商品蒔絵シール
レッドver.タイトルロゴ
ゴールドver.坂井鉄也セリフ
レッドver.広能昌三セリフ
ゴールドver.市岡輝吉セリフ
レッドver.大友勝利セリフ
「仁義なき戦い」タイトルロゴ
「仁義なき戦い」にて。
組長である山守を神輿に例えて言い放ったお言葉。
山守組を背負ってきた若頭坂井鉄也の自負心がみえる台詞だが、この言動が彼の運命を大きく変えてしまう。
「仁義なき戦い」にて。
坂井の祭壇に銃をぶっ放した後の広能の台詞。
殺された坂井に対する広能なりのはなむけでもあった。
「仁義」といえばこれ、というぐらい有名なお言葉。
広能の兄弟分でもある市岡輝吉の台詞。ササラモサラは広島弁で「無茶苦茶」という意味(…らしい)。三度登場の松方弘樹はさらに「新仁義なき戦い」では、自らが演じた坂井(役名は青木※若山富三郎)を殺す人物、関勝も演じている。
「完結篇」にて。兄弟分になりたいという市岡輝吉の申し入れに対する宍戸錠版大友勝利の台詞。何事にも順序や配列があるというお言葉。「おどれとワシが五寸か!」といきまく台詞へと続く。相変わらず凶暴だ。
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■仁義なき戦い 広島死闘篇 シリーズ第二作(1973年4月23日公開)
 

1950年(昭和25年)〜1953年(昭和28年)

"ワシらうまいもん食うてよ マブいスケ抱くために生まれてきとるんじゃあないの、それも銭がなきゃできゃせんでよ。ほいじゃけん 銭に体はろうゆんが どこが悪いの"

暴力と支配欲そして自己顕示欲でしか己の存在をみいだせず、本能のままに動く狂気のやくざ大友勝利(千葉真一)

"ワシャ マーケットでワシにこみおうたやつら みんな殺ったろ思うちょりますけ、極道にさしてつかあさい"
"ワシも恰好つけにゃあ ならんですけえ"


ググッと腰を落としながら、獲物を狙う獣のように銃をかまえるヒットマン。大友をブチ殺すためにやくざになった山中正治(北大路欣也)

シリーズ第二作「広島死闘篇」の見所はこの二人の徹底的なアンチヒーロー、ワルの魅力に尽きる。
特に大友勝利を嬉々として演じた千葉真一。もともとオーバーアクトな千葉チャンが、さらに暴れるその異常さは、シリーズ中最も危ないキャラクターとして知られる事となる。

一方、ヒットマンとして名を上げるも愛する女への情を断ち切れず、組長に骨の髄まで利用され、自らの無知に嘆き悲しむアウトロー山中正治。
演じるは本作への出演を自ら希望した北大路欣也。
終戦を迎え行き場のなくなった自分を持て余し、暴力に魅かれていく屈折した若者を熱演している。

"殺るんなら、なしてこのワシを殺りに来んのなら おー"

次作「代理戦争」にも登場し、潔しを尊ぶ男気を見せる松岡組若頭 松永弘(成田三樹夫)

"熱っ、熱っ、あの山伏のクソ、あとでピストルぶち込んじゃるぞ"

シリーズ第5作「完結篇」まで登場し、武闘派だがやんちゃ坊主のような松岡組幹部組員 江田省三(山城新伍)。(※江田省三は次作から名前が省一に変わる。)
後のシリーズにおける重要なキャラクターも本作から登場。

その他、大友組に凄惨なリンチを受けたあげくに吊るされ、練習用の銃の的にされる村岡組若衆 岩下光男(川谷拓三)
大友に振り回される抗争にイヤ気がさし手打ちを計画するも、弱気をみせたやくざがどうなるか、死をもって知る大友組幹部 中原敬助(室田日出男)
"こらえてつかあさいや 山中さん…" 山中に殺される間際に命乞いする大友組若衆 寺田啓一(志賀勝)
(以上東映ピラニア軍団ブレイク前の三人)
同じく大友組で、山中の凶弾にもんどりうって壮絶死する若衆※役名無し(福本清三)など、東映おなじみの強面が無残に死にゆく。
※「ラストサムライ」にてハリウッドデビューを果たす福本清三はピラニア軍団とは親しいが軍団員ではない。

絶対的な暴力の前に成す術はないのか…
"暴力を否定できない"という深作欣二監督の反面教師的な映画でもあると思う。

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●国内盤LD
1992年2月25日 東映ビデオ<LSTD01010>
本編99分 CLV シネスコ 2面 モノラル音声

本編前に「仁義なき戦い」、巻末にシリーズ他4作品のオリジナル劇場予告篇収録。
名場面・名セリフ集・チャプター解説付ジャケットサイズ解説書封入。
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●国内初盤DVD
2001年8月10日
東映ビデオ<DSTD02027>
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※再発廉価盤DVD(3150円)
2006年12月8日
東映ビデオ<DCTD02027>
本編99分44秒 シネスコスクイーズ(1:2.35) 日本語モノラル音声 チャプター

●映像特典

・オリジナル劇場予告篇(左右を多少カットしたシネスコスクイーズ収録 3分22秒)
・抗争関係図&主要人物紹介(静止画スチール)

千葉真一は大友を演じるにあたり、「どうしたらかっこ悪くみえるか」に撤し、甘いマスクの二枚目という自身のイメージを払拭しようと考えた。
また、大友勝利はシリーズ第五作「完結篇」にも登場するが千葉真一は「ボディガード牙」「殺人拳」「地獄拳」シリーズ(※→ジャケットはこちら →詳細はこちら)の主演で忙しく、大友役は宍戸錠に代わる。
千葉真一は大友役として再出演できなかった事を悔しがり、性病で眼がただれた晩年の大友をやりたかったと後年のインタビューで語っている。(※性病のくだりは実際の映画には描かれていない。)
また面白い事に当初、山中役の北大路欣也と大友役の千葉真一の配役が逆だったという。

「広島死闘篇」は、二人のアウトロー山中正治と大友勝利の対立に焦点をあてながら、山中が属する村岡組と大友勝利率いる大友組との全面戦争(第一次広島抗争)が描かれていく。
時間軸的には広能が坂井の葬式の祭壇に銃弾をぶっ放したエンディングからさかのぼる事約6年、1950年(昭和25年)に話は戻る。
※設定的には前作ラストで死んだ坂井鉄也(松方弘樹)はまだ生きている事になる。

広能が土居組々長を射殺したあと、逃げるように入った刑務所内で山中正治と知り合っていた事。出所後、造船所のスクラップ置場の警備で広能組をまかなっている頃、山中が命を狙う大友勝利側の時森勘市(遠藤辰雄)を山守の頼みでかくまうなど、広能は山中(村岡組)と大友組のどちらにも関わるワイルドカード(ジョーカー)的な役回りで登場する。
そして、広能(&山守)の出番が少ない事、群像劇ではない事などから、本作はしばしば番外篇的に捉われる。
しかし、食い詰め者の山中を鉄砲玉として利用し、広島市の縄張りを制した老獪な組長の村岡と、その山中の葬式で“あの山中いうんは、シャンとしとったのう。親にも一家にも迷惑かけずに死んでいったが、村岡さんもいい若衆持っとったのう。”と、広能に聞こえるように嫌味たっぷりにのたまう山守など、親分に対する絶対的な服従が求められるやくざ世界の非情さ、虚しさを残すラストが印象深い。

犠牲になるのは常に若者という「仁義なき戦い」の大きなテーマが、シリーズの中でも特に色濃くでている作品といえよう。
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●国内盤Blu-ray
2013年3月21日
BOX封入盤・単品盤
同時発売
東映ビデオ<BSTD02027>
−映像:本編99分50秒 シネスコ(1:2.35) 1080p Hi-Def AVC
−音声:ドルビーTrueHD(日本語モノラル)
チャプター、メインメニュー・ポップアップメニュー機能付


●映像特典

・特報(フルシネスコ・HD画質 1分38秒)【初収録】
※当時の撮影開始記者会見の様子やメイキング風景、同時上映「狂走セックス族」のテロップ予告まで含まれている貴重な特報初収録。
記者会見場では深作監督、飯干晃一(原作)、北大路欣也らとともに菅原文太も出席しているが、菅原文太は東映の実録路線へのシフト による上層部内の軋轢。自身の出番が少ない事などを理由に、出る、出ないで揉めた経緯があり、いささか不機嫌な様子がよくわかる。
・オリジナル劇場予告篇(フルシネスコ・HD画質 3分30秒)
【HD画質初収録】

第一作同様新HDマスターを使用。国内盤DVDの赤っぽい映像、画面によって左右に黒帯が出たり出なかったりのオープニングクレジットの不備も解消。

そして本作「広島死闘篇」でもっとも気になるのは終盤の降りしきる雨と夜の描写。追い詰められた山中の心理状態を表現した夜の闇に浮かび上がるシルエット。
高感度フィルムによるざらついた臨場感。黒にじみのない締まった映像はHD画質ならでは。
全体的に発色抑えめだが、これはドキュメントタッチのテイストを狙ったフィルムそのままの再現だろう。
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●縮小復刻ロビーカード<広島死闘篇>
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