“昌ちゃん 村岡組にも顔が広いけん 耳に入った事があったら知らせてくれや のう” “ほうか ほいでワシを抱こうゆう腹じゃったんかい 手回しがええのう” 村岡組の動きを察した呉の山守組長(金子信雄)は槇原(田中邦衛)を従え、村岡組にも顔が利く広能(菅原文太)に接近。 かたや打本は村岡組幹部・武田明(小林旭)、松永弘(成田三樹夫)、江田省一(山城新伍)。そして広能と兄弟盃を交わし、さらに広能を通して神戸最大のやくざ、明石組長舎弟・相原重雄(遠藤辰雄)とも盃を交わしその地盤を固めようとする。
“親父とワシらで話をまとめたんじゃがのう 親父の跡をよ 山守のおじさんに頼もういう事になったんじゃが どう思うかいの” “山守の親父には ワシから話してみるわ 知らん仏より、知っとる鬼のほうがましじゃけのう” 引退を決意した村岡組長(名和宏)は、広島を神戸に売り渡すようなこの打本の行動に怒り、呉の山守組と合併し山守に組を預ける事を決める。
“ワシゃほんまにこの世へ向いて 親分になるために生まれてきたようなもんですよ” “ワシがこの広島を抑えたからにゃ もうよそのモンにはもう グスァ〜ッともいわさせんですよ” 大組長の座が転がり込んだ山守は、祝いの席で敵対する打本を嘲る。 鬱憤をつのらせた打本は山口県岩国の小森組に肩入れし、山守組の槇原と兄弟分の浜崎組との代理戦争をけしかける。
“ワシが二代目になるいう事で 面倒みてもらえんですか” “早川も早川よ わが親分がつまらんけんいうてよ 今度はあっちの親分にいうて ええとこづきするようなもんは わしゃ好かんで” 山守組幹部連と広能は、小森組と浜崎組との代理戦争にのらず、槇原はイモを引く。 組の統制に失敗した山守は今度は打本組幹部・早川英男(室田日出男)(※本編テロップでは英雄)の抱き込みを図る。節操のない早川は打本を裏切り、山守組につく。 さらに打本の下部組織が山守組事務所へ発炎筒を投げ入れた事により、山守組幹部連と広能は打本に盃を返し水とする。追い込まれた打本は指を詰め、神戸の明石組の元へ逃げる。 “もしこれが 神戸に聞こえたら どうなるかわかっとるんですか” “あの(早川の)外道ゆうたら 明石組が打本抱いとるっちゅうの聞いてとたんに シッポをふって神戸へ打本迎えに行っとるんじゃ” 明石組は広能を通して、小森組と浜崎組の手打ち、そして打本への詫びを要求してくる。 広能は、山守、槙原、江田らが裏で独自に明石組に連絡をとり、身の安全を図ろうとしていた事を聞き、この要求を受ける。 これは明石組に対する実質的な山守組の敗北だった。 “二代目になりそこのうたのォ“ “おかげさんで 若頭にさせてもらいましたけ 今後もよろしゅう” 意気上がる打本は明石組長の舎弟となり、山守組の対抗組織となった。打本を裏切り、山守についた早川は再び打本になびき、若頭におさまる。 “広能に対抗できるゆうたら こんなしかおらんのじゃ のゥ 頼むわい ワシを助けてくれい” “明石組と五寸で勝負できるゆうたら 神和会しかあらぁせんのですけん” 山守は入院中の武田に得意の泣きを入れる。 村岡組の若頭として復帰した武田は、明石組のライバルでもある神戸の神和会との盃を交わそうと目論む。 しかし山守はさらにその裏で早川を通して明石組にも近づくのだった。 “だいたい親父がだらしのうて 敵味方のスジがガタガタじゃけん こっちも安全保障つけとかにゃなるまいが” “ひとを食わにゃ おのれが食われる そうと違うか” 明石組に近い広能は組内部ではみだした存在になり、命も狙われるようになる。 さらに武田から神和会との取持ちを依頼され、同時に明石組幹部・岩井信一(梅宮辰夫)からも神和会と山守組の盃をつぶし、打本との兄弟盃を戻すよう求められる。 岩井は広能に今こそ正念場だと助言し、広能は山守を追い込む決意を固める。 “そっちは初めから筋書き知っとってよ ワシらをここに引っ張り込んだんじゃろう” “ワシらばっかりが火の粉を浴びることないじゃない 山守にもヤケドさせたれいや のう” 明石組は打本との盃を戻すよう山守組幹部連に強引に迫る。 武田はこれを突っぱねるが、明石組と広能は呉の長老・大久保憲一を仲介にたて、断れないよう仕掛けてくる。武田は渋々これを受け、打本との兄弟盃を戻す。 明石組は山守組派の早川を破門。そして広能の策略通り、山守は神和会から、事の成り行きの責任を問われ引退寸前に追い込まれる。 “こないせん事にはな ワシら広能を助けたられへんのや” 明石組派の広能は、武田から山守組を破門される。 そして、それを知った明石組も打本を使い山守組の武田を破門し、これに報復する。 “どっちつく言うて そりャあ どういうことですかのォ” “はっきり立場しめすような みやげ持ってこいや のお” 武田は明石組を破門された早川を組にかかえる代わりに戦争を仕掛けるよう仕向ける。 遂に早川は明石組中国支部打本会に殴り込みをかける! “おい とうとうやりやァがった 早川の外道が打本ん所に殴り込んだぞ” 明石組系列の打本組・広能組と、神和会系列の山守組との全面戦争(第二次広島抗争)は、いよいよ明石組とそのライバル神和会との代理戦争として、ここに火ぶたが切っておとされたのだ。