2000年発売 A
ONE COLLECTION CO., LTD. リリース台湾盤DVD。
チャプター付、コードフリー、シネスコサイズ(ノンスクイーズ)収録、英語版オープニングクレジット、英語音声版、5.1ch収録(伊福部昭の音楽はほとんどそのまま)。英語・中国語・日本語字幕収録。1969年7月26日国内初公開時の上映時間89分より9分長い98分23秒版(ジャケット表記は96分)。
東宝とドン・シャープ・プロダクションとの共同製作による日米合作映画。
ドン・シャープは英国ハマー・プロの「怪人フー・マンチュー」(2002年8月23日DVD発売)、「白夜の淫獣」などで知られるオーストラリア出身の監督であるが、国内で未ビデオ化の理由はこのドン・シャープ・プロダクションとの契約で、東宝にソフト化の権利がない為である。
画質はボケ気味で暗いシーンはデジタルブロックノイズがでまくる。日本語字幕付が貴重だが、この字幕が「クロサナ号」(クロサメ号)、「いったい何があったらんだ」(「ら」がよけい)、「あなたのあいばの名前は?」(たぶん「あいぼう」)などと意味不明だったり、「作動しません」と言っているのに「セットしました」などとまったく逆だったりと、ロシア盤「惑星ソラリス」もぶっとぶ根本的な間違いも多い。タイミングもずれまくるし(まあ、意味はわかるので良しとするが…)
アメリカからの出演者は、ジョセフ・コットン、シーザー・ロメロ、リチャード・ジャッケルといった、いずれもハリウッドの(元?)スターで、撮影も彼らが演技しやすいように、ワンシーンをカット割りせずそのまま一気に撮影、アップショットなどは後から編集で繋ぐというハリウッド方式で行われた。
また、台詞はすべて英語で撮影された為、宝田明、岡田真澄、中山麻里、平田昭彦といった日本からの出演者も、すべて本人たちが、英語を喋っている。このDVDに収録されている台詞もすべて本人達の肉声である(逆に日本語版はアフレコで日本語に吹替えたもの)。
もっとも、アルファー号乗員の甲保(コボ?)役の大前均のように日本語しか喋らない者もいるが…。
冒頭に登場する海洋観測船フジ、ラストのアルファー号と黒鮫号の戦いなど、ミニチュアワークを駆使したメカ描写は当時としては見るべきものもあるが、ブラッドロック島に現れるコウモリ人間、大ねずみ、コンドルとライオンの合体したグリフォンなどの造形はかなりチープで寒い。
粗い合成と安っぽいセットも円谷特撮の限界と、日本特撮界の明日を見せられているようで寂しい。
ちなみにこの映画が製作公開された1969年の前年1968年には、アメリカでは「2001年宇宙の旅」
「猿の惑星」が製作公開されている。まあ、この映画をSF映画としてとらえるか、マニア向きの特撮映画としてとらえるかで、また意見も変るというものだが。
他愛無い作り物とわかっていても、また行きたくなる「カリブの海賊」のようなアトラクション的楽しさを、この映画に感じる事ができるかどうかが、この映画を楽しむ為のポイントだろう。
ただラスト、「緯度0」が不思議な別世界の出来事だったという思いを抱かせる、現実の世界に戻ったベリー(リチャード・ジャッケル)の秀逸なエピローグは心に残る。(2002.10.19) |