用心棒 →ハイビジョン映像へ (2005.10.15)
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「雇った方で 用心しなけりゃならねえ 用心棒だってあらあ…」。
腕も立つが、頭も切れる浪人者、桑畑三十郎。
本物の悪か、悪ぶっているのか…?それとも、ただの気狂え〜か!

黒澤作品の中でも「七人の侍」と並んで人気の高い「用心棒」(1961年4月公開)。
様式美に捉われていたそれまでの時代劇を、リアルな時代劇へと方向転換させた画期的な作品だ。
「荒野の用心棒」を始めとするマカロニ・ウエスタンなど、海外のアクション映画に与えた影響は「七人の侍」をも超えるであろう(
詳細はこちら→)。
西部劇のような時代劇を目指したという「用心棒」が、後の西部劇に、逆に影響を与えてしまうあたりは、まさに世界のクロサワだ。

空っ風と砂ぼこりが吹き荒れる無法の町、馬目の宿を舞台に一癖も二癖もある悪党どもを時代劇初の斬殺音と共に豪快に斬りまくる三十郎! ゴーストタウンのような宿場町を、敵同士が徐々に歩み寄るという西部劇さながらの映画史に残る決闘シーンは、"ピストル"対"刀"!(実際には出刃包丁だが…)
鼻をすすりながら媚を売る太鼓持ちの番屋の半助、"にたっ"と笑う昼逃げ用心棒の本間先生、パントマイムで演じられる八州廻りへの袖の下、半殺しにされた墓場の三十郎…などなどコミカルな味付けも忘れがたく、「あばよ」と言い残し肩を揺すりながら去っていく三十郎の後には、ただ死体の山が転がるのみであった…。
極端にデフォルメした人物描写と、まったく無駄のない卓越したストーリーテリングが見事に融合し、黒澤エンターテイメント時代劇の頂点に立つ作品となった。

冒頭、やくざ稼業に足を踏み入れた百姓の小倅(夏木陽介)が三十郎に悟らされ、「おっ母!」と逃げ出していくラストまで、黒澤が「用心棒」の根底に描いたものは、暴力が暴力を生み出す虚しさ、愚かさであった。引用されたマカロニ・ウエスタンが、徐々に暴力や残酷性のみを強調していくのを見た黒澤の心中は如何なるものであったか…。
「荒野の用心棒」主演のクリント・イーストウッドが、後にマカロニ・ウエスタンや西部劇に対する自身の思いの総決算として愚かな暴力を描いた名作「許されざる者」を創ったのも、きっと黒澤明と同じような思いがあったからに違いない。

「俺の名前は…、桑畑三十郎。もうすぐ四十郎だがな…」。世界のクロサワ51歳、世界のミフネ41歳、共に脂の乗りきった絶頂期の作品だ。 本作「用心棒」を見ずして黒澤を、いやっ、時代劇を語るなかれ…。

●黒澤は、三十郎にギターでも弾かせようと思ったほど、西部劇を意識して製作したといわれている。映画の面白さを徹底的に追求しようとしたあまりの事だが、いくらなんでも…という事で止めたらしい。仲代達矢演じる新田の卯之助のマフラーやピストルは、その名残りだ(卯之助役は、当初、三橋達也がキャスティングされていた)。
ちなみに、かんぬきを持った丑寅の子分の大男は相撲取りの羅生門綱五郎。これ以上ないというくらい劇画チックにハマっているが、1967年より少年マガジン誌上にて連載された、さいとうたかおの「無用ノ介」など、一連の劇画ブームも本作「用心棒」の影響によるものだ。

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LD GALLERY
●国内初盤LD 1986年5月21日
東宝<TLL2041>
※再プレス版1987年6月21日
LD黎明期にリリースされた国内初盤。
左右を少しカットしてズームしたシネスコサイズにて収録。それほど画像が悪いという事はない。
本LDリリースの7年前となる1980年4月11日(金)午後8時、フジテレビ系列にて放送された、黒澤がCMを入れる箇所まで指示したシネスコサイズ完全放送版「用心棒」はおそらくこのバージョンと思われる。
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●YOJIMBO
米国初盤LD/テレビサイズ
1986年
EMBASSY HOME ENTERTAINMENT
<61435>
本編冒頭及びジャケット裏にJanus Collection(ヤヌス・コレクション)との記載がある事からわかるように、当時「用心棒」「椿三十郎」(および「七人の侍」)の海外での配給権利はヤヌス映画社が取得していた。
そして、これが後にヤヌス映画社と密接な業務提携にあったボイジャー社より下記クライテリオンコレクション<CC1211L>としてLDリリースされる布石となるのだが、本ソフトはそれ以前の1986年にビデオ化権、ディスク化権をヤヌス映画社より購入していたエンバシー・ホーム・エンターテイメントからリースされた「用心棒」初のLDとなる。

※ちなみに当時エンバシー・ホーム・エンターテイメントからリリースされた「七人の侍」はVHSビデオリリースのみだったが、そのジャケット写真は1954年「七人の侍」と同年に公開された稲垣浩監督作品「宮本武蔵」の宣伝用スチールと間違えている。
同じ三船敏郎主演でやはり野武士との対決シーンだが、ジャケットに写っているのは菊千代ではなく宮本武蔵である。(→ジャケットはこちら)

黒澤監督はオリジナルサイズにこだわり、テレビ放送時にもシネスコ画面のトリミングを許さずワイド画面での放送を要請した事はつとに知られているが、本LDは珍しい事に左右を切ったテレビサイズトリミング版、いわゆるPan & Scan方式にて収録されている。
当時のアメリカではテレビでの映画観賞はトリミング版が常識だったとはいえ、左右に対峙した人物など思いっきり見切れてしまっている。
黒澤監督が見たら激怒間違い無しのアイテムだが、今となってはかなりレアなディスクといえるのではないだろうか。

実際の所、黒澤明本人はもとより黒澤プロダクション自体も海外でのソフトリリースを知らなかったようで、当時海外におけるビデオの無断配給として黒澤プロダクションは東宝に著作権法違反のクレームを提示し、東宝と権利関係に関する争議にまで発展している。

映像内容は下記クライテリオン盤LD<(CC1211L>同様、オープニングの日本語クレジットタイトル(字ネガ)を英語版に差し替えたアメリカ公開版マスターとなる。※A・B面のディスク切替えも同じ。
ジャケット表記110分 日本語モノ音声 英語字幕収録。
→椿三十郎「米国初盤LD/テレビサイズ版」はこちら
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●YOJIMBO
米国クライテリオン盤LD
1990年
ボイジャー社<CC1211L>
オープニングの日本語クレジットタイトル(字ネガ)を英語版に差し替えたアメリカ公開版マスター使用。
冒頭の東宝マークは黒画面白文字の「SENECA INTERNATIONAL Presents
A TOHO COMPANY, LTD. PRODUCTION」
に差替え。山並をバックに「Yojimbo The Bodyguard」がかぶさり、英語でクレジットが表記されていく。
エンドクレジットも黒画面に右横2行で「THE END」表記。
※A・B面のディスク切替えは国内盤LDと同じ。

オープニングクレジット部分のみ左右にも黒帯のでるフルシネスコ表示(2.31:1) となるが、本編になると左右の黒帯は消え、左右を少しカットしてズームしたシネスコサイズ(2.16:1)となる。
日本語モノ音声、英語字幕版。英語字幕が映像にかからないように本編映像は画面センターより少し上に表示される。
ボイジャー社独自のテレシネによるクライテリオン盤特有の滑らか画質。(「Yojimbo The Bodyguard」のタイトル部分のみ画質が劣る。)
海外版の特長としてはオープニングクレジットが終わり、三十郎が道端に転がっている木枝を投げて行く道を決めるシーンのバックに、物語の時代背景である幕末と、当時のサムライの様子が文字スーパーにより紹介される事。(以下参照)
・The time is 1860...
the emergence of a middle class has brought about the end to power of the Tokugawa Dynasty...
・A samurai, once a dedicated a warrior in the employ of Royalty, now finds himself with no master to serve other than his own will to survive...
・...and no devices other than wit and sword.
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●国内ニューマスター盤LD
1993年7月1日
東宝<TLL2411>
国内盤LDはコントラストの強いクッキリ画質。
黒澤作品を数多く手がけた撮影監督・斉藤孝雄氏監修のハイビジョン・テレシネマスターによるLDリリース。
滑らかなクライテリオン盤の画質とは違い、ギラギラした黒澤映画らしいコントラストの強い画質が特長の黒澤ライブラリー。
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●用心棒
1993年発売告知パンフレット
1993年7月1日「用心棒」新盤LDリリースに向けての告知パンフレット。
予告篇集ディスク、復刻版パンフレット、メイキング集など、プレゼント特典も豪華だった。
→プレゼント特典はこちらをクリック
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DVD GALLERY
●用心棒
香港盤DVD 1999年
美亜[金雷]射影[石葉]有限公司
<DVD-212>
コードフリー。日本語モノ音声、英語・簡体中国語・繁体中国語字幕(表示ON・OFF可)収録。ノンスクイ−ズ・シネスコサイズ収録。ジャケット表記109分。
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●大鏢客
台湾盤DVD 1999年
宇宙企劃有限公司<DV-027>
コードフリー。日本語モノ音声収録
ノンスクイ−ズ・シネスコサイズ収録。「七人の侍」と同じくクライテリオン盤LDからの流用映像のようで、焼き付け英語字幕表示は消せない(黒帯の白抜き中国語字幕は表示・非表示選択可能)。
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●YOJIMBO
1999年9月28日
米国クライテリオン初盤DVD<YOJ030>
コード1 ノンスクイ−ズ版 日本語モノ音声 新訳英語字幕収録(表示ON・OFF可) チャプター付 劇場予告篇収録。
同社リリースLDとまったく同じアメリカ公開版マスター(アメリカ公開版オープニングクレジット)を使用したDVD。当然ながら解像度はアップしている。
また、LDと同様「Yojimbo The Bodyguard」のタイトル部分のみ画質が劣るが、LDで見られたオープニングクレジット部分と本編映像のサイズの差異はなく、全編左右を少しカットしてズームしたシネスコサイズ(2.16:1)にて収録。
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●Yojimbo 2000年11月6日
英国盤DVD<BFIVD505>
bfi(British Film Institute) Video
Publishing
コード2 PAL方式 チャプター付 日本語オープニングクレジット版。
ノンスクイ−ズ・シネスコサイズ。日本語音声、英語字幕(表示ON・OFF不可、字幕はシネスコサイズの画面内か外かの表示位置の選択可能)。早送りPAL方式の為、ジャケット表記106分。

黒澤明、三船敏郎両バイオグラフィー、プロダクションスチール収録(一枚)、
PHILIP KEMPによるインデックス付コメンタリー収録。

殺陣を担当した久世竜によってラグビー剣法と名づけられた、ジグザグに走りながら10秒で10人の敵を斬る(百姓の子倅を一人逃がしてやるので、実際には9人だが…)、クライマックスの三十郎の立ち回りがムービングメニューになっているが、最初にこんなにネタばれしてしまって良いのだろうか…?
元マスターは不明だが、冒頭に退色した東宝のインターナショナル版クレジットが写る事から、英国に残されているフィルムを使用しているのかもしれない。多少、画面が暗いようだ。
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●LA SFIDA DEL SAMURAI 
2002年12月12日
イタリア盤DVD<20036>
MONDO HOME ENTERTAINMENT
コード2 PAL方式 チャプター付 日本語、イタリア語音声収録。難聴者向けイタリア語字幕(表示ON・OFF可)。ジャケットサイズ見開き解説書付。

通常に再生すると、黒画面にイタリア語による文字クレジットと音楽のみで始まり、クレジットが終わるとようやく、三十郎が道端に転がっている木枝を投げて行く道を決めるシーンから映像が映し出される。

チャプターで戻ると、三十郎が頭をかきながら登場するおなじみの日本語版オープニングから始まるので、デフォルトでイタリア語版クレジットが再生される設定になっているようだ。
エンドクレジットは「終」だが、その後再び黒画面バックにイタリア語吹替版のクレジットが表示される。
元マスターは不明で画像が暗く、あまりきれいな画質とはいえないがイタリア語吹替で見ると、まさにマカロニウェスタンのようでもある。
特典映像として、黒澤明フィルモグラフィー/同メーカーからリリースされているDVD各種予告(「Dodes'Ka-Den/どですかでん」含む「太陽がいっぱい」「エヴァ」他) /三船敏郎・黒澤明両バイオグラフィー(※「七人の侍」イタリア盤と同じく、こちらも三船敏郎の写真が「七人の侍」の野武士の頭目役、高木新平と間違えている) /黒澤作品の映画賞などに関するミニ歴史(?)収録
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●東宝国内単品盤DVD
2002年12月21日
<TDV2680D>
単品盤のみの専用ブックケース入りトールケース仕様。待望のスクイーズ収録、本編110分24秒。
シナリオに沿ったムービングチャプター、豪華解説書(国内新盤LD解説書に掲載されているものと一部同じ)、日本語字幕付、ピクチャーディスク仕様。
オリジナルモノ音声、3チャンネル・ステレオ=パースペクタ・ステレオフォニック・サウンド(※本編オープニングタイトル左下に表示されるマークがこれ)、5.1chリミックス音声収録。

撮影風景や別アングルなど貴重な映像が多数含まれている特報(1分24秒)・劇場予告篇(2分36秒)がスクイーズ収録されているが、劇場予告篇内の「俺を買わんか?… 用心棒にどうだ…」の部分にかかる文字スーパー“三十郎 三船敏郎”が欠落している(次の“卯之助 仲代達矢”は収録)。
これは劇場予告篇の字ネガが一部破損している事によるものだが、画像は劣るが完全なものとしては東宝新盤LDのプレゼント特典「スペシャルLD・黒澤明監督作品予告篇集」(→詳細はこちら)と、米国クライテリオン初盤DVD(→こちら)に収録されている。

その他、特典映像シリーズとして製作スタッフ・キャストの証言による44分35秒の貴重なドキュメンタリー「黒澤 明〜創ると云う事は素晴らしい〜」収録。人間の手首を銜えて通り過ぎる犬のエピソードなど貴重なメイキングが語られている。
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●Yojimbo
スペイン盤DVD
2002年 filmax HOME VIDEO
<67064>
リージョンコード2 PAL方式。ムービングメニュー・チャプター付。
コントラストの強い東宝LDマスター使用。
オリジナル日本語音声、スペイン語字幕(表示ON・OFF可)。スペイン語音声は残念ながら未収録。ジャケット表記110分。
特典映像としてスタッフクレジット/キャストクレジット」(※本編映像には、キャスト・クレジット表記共に、スペイン語字幕が表示されない/黒澤明フィルモグラフィー/製作ノートなどが静止画の文字情報として収録。

スペイン盤「用心棒」は、「蜘蛛巣"Trono de sangre"城」「隠し砦の三悪人"La fortaleza escondida"」とのボックスセット版と、単品盤がリリースされている(※ジャケット写真はボックス版)。
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●YOJIMBO 2004年4月
オーストラリア盤DVD<EYE207>
MADMAN ENTERTAINMENT Pty LTD.
リージョンコード4 PAL方式。
シネスコスクイーズ収録、日本語モノ・5.1ch音声収録、英語字幕(表示ON・OFF可)、110分、静止画メニュー、セレクトシーン(チャプター)付、オリジナル劇場用予告篇・EASTERN EYE DVD予告篇収録。
マスターは国内盤DVDと同じもののようだ。
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●Yojimbo 台湾盤DVD
2008年
BONZAI MEDIA CORPORATION
<AVC3724237>
コードフリー。チャプター付、110分(ジャケット表記109分)。
米国クライテリオン盤LD(CC1211L)、クライテリオン初盤DVD(YOJ030)にてリリースされていたアメリカ公開版「Yojimbo The Bodyguard」収録。
エンドクレジットも黒画面に右横2行で「THE END」表記。
全編左右を少しカットしてズームしたシネスコサイズ(2.16:1)にて収録。

クライテリオン初盤DVD同様ノンスクイーズ版ではあるがデジタルリマスター&レストアで、画質は格段に良くなっている。アメリカ公開版オープニングクレジットが見られるソフトとしては現在もっとも高画質なディスクとなる(「Yojimbo The Bodyguard」のタイトル部分のみ、クライテリオン初盤DVD同様やはり画質が劣る。)
また、ジャケットに「WORLD PREMIER ENGLISH LANGUAGE」と記載があるように、英語吹替音声版での初リリースともなる。
※日本語音声未収録、日本語・英語字幕ともに収録無し。

ただし、クライテリオン盤本編冒頭にあった東宝マークの差替映像、黒画面バック白文字の「SENECA INTERNATIONAL Presents A TOHO COMPANY, LTD. PRODUCTION」部分をカットし、タイトル・バック(M-1)曲をそのまま後ろにズラしてオープニングの山並映像から流しているため、クレジット部分の映像と音楽がズレている。特典映像類も未収録。
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●YOJIMBO & SANJURO
TWO SAMURAI FILMS BY AKIRA KUROSAWA
米国クライテリオン再発盤ニューマスター仕様DVD
2007年1月23日 ボイジャー社<Criterion Collection DVD #52#53>
椿三十郎とのカップリングBOXセット(椿三十郎はこちら→)
ボイジャー社独自のテレシネ作業により、新たにリリースされたニュー・マスター仕様クライテリオン再発盤DVD。
コード1、シネスコ(2.35:1)スクイーズ仕様、チャプターメニュー付、本編110分24秒
使用しているマスターは国内ニューマスター盤LD(TLL2411)に使用されたハイビジョン・テレシネマスターと同じものと思われるが、上記東宝盤DVD(TDV2680D)よりも明らかに画質が良い。
同じDVDというメディアながら、高度なレストア技術によってこうも変わるものかと感嘆してしまう程の高画質感だ。

音声/ドルビーデジタルオリジナルモノ・ドルビーデジタル パースペクタ3ch・黒澤作品の研究家Stephen Prince氏によるコメンタリー収録
字幕/新英語字幕収録(ON/OFF可)

■特典映像
・AKIRA KUROSAWA: IT IS WONDERFUL TO CREATE
※東宝盤DVDの特典映像「黒澤 明〜創ると云う事は素晴らしい〜」(44分35秒)ドキュメンタリーフル収録(英語字幕付)。
・劇場用予告篇(2分36秒、スクイーズ収録)
※文字スーパー“三十郎 三船敏郎”が表記されるので、おそらく“三十郎 三船敏郎”を含む文字スーパーが焼き込まれているデュープ版をマスターとしていると思われる。東宝盤DVDに収録されている絵ネガと字ネガで分かれているオリジナルネガを使用した劇場予告篇と比較しても、コントラストが劣るレベルで画質自体はそこそこ良い。
・特報(1分24秒※スクイーズ収録)
・静止画ギャラリー※黒澤明監督の演出風景等を収めた貴重なメイキングスチール7枚収録。
※作品データ、テレシネについて、DVD製作クレジット他記載の24ページブックレット封入。東宝盤DVD封入のブックレット記載の「出逢い 俳優仲代達矢」「用心棒のパンフォーカス 撮影監督宮川一夫」「“用心棒”製作の現場 野上照代」等の英訳が転載されている。
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Blu-ray GALLERY
●国内盤ブルーレイ[Blu-ray]
2009年12月18日
<TBR19228D>
既存のHDマスターを使わず、新たにHDテレシネしたマスターを元に作られた東宝ブルーレイ盤「用心棒」。

「七人の侍」「椿三十郎」ブルーレイ盤同様、コントラストが抑えめでフィルム的質感が特長。

上記、東宝盤DVD(TDV2680D)と比較すると、解像度の高さによる画質の違いは歴然だが、クライテリオン再発盤DVD(#52)と比較すると何故かそれほどでもない印象を受ける。
もちろん、三十郎の髪の毛一本一本の表現力、居酒屋の壁や柱の木目、遠景描写の細密感などに圧倒的な解像度の高さを持つブルーレイの凄さは感じるのだが、解像度の高さがもたらす映像表現のなんたるかという点では、まだまだその利点を生かしきれていないようにも感じるのだ。
解像度が高い=高画質ではなく、解像度が高いという事はあくまでも技術的なスペックのひとつでしかなく、フィルムである映画をどうデジタル処理しどう復元するのか、というコンセプトにかかわるものだと思う。 日本の文化遺産でもあり、世界の黒澤映画だからこそそれを期待するのだ。

また、ジャケット裏に記載されている3行ほどのあらすじ。 “桑畑三十郎と名乗る凄腕の浪人は清兵衛親分の用心棒になるが、女房の強つく張りに嫌気をさし、敵対するもう片方の丑寅を訪ねる。”とあるが、なんだか違うような…。
「野良犬」のブルーレイジャケット裏でも“スリの常習犯の供述から犯人にたどり着くが、運悪く相棒が撃たれてしまう。”とあり、(相棒とは志村喬演じるベテラン刑事佐藤の事だが)、別に間違いではないがどこかそぐわないと感じる。本当に映画を見た人が書いているのだろうか?

なお、2007年10月8日(月)に日本映画専門CHで放送されたHV版はコントラストが少し高い事、カットの切り替わり画面の下部に次のカットの上部が写るスプライス跡が見られる事から、国内ニューマスター盤LD(TLL2411)に使用されたハイビジョン・テレシネマスターを使用していたものと思われる。

映像/本編1時間50分30秒(110分30秒) 1080P HD MPEG4-AVC
音声/オリジナルモノラル(リニアPCM)・オリジナル3chパースペクタ ステレオフォニック サウンド(リニアPCM)・5.1chリミックス(ドルビーTrueHD)
※リニアPCM収録により音声がグレードアップ
字幕/日本語字幕収録
・ポップアップメニュー、チャプター付

■特典映像
・特報(1分39秒)※HD画質
・劇場用予告編(1分29秒)※HD画質
文字スーパー“三十郎 三船敏郎”が表記される完全版。画質が格段に良くなっている事、字幕スーパーのエッジが強い事、映倫マーク等の小さな白抜き文字が抜けきれていない事から、文字スーパー“三十郎 三船敏郎”が欠落していた字ネガをデジタル修復(?)し、絵ネガと合わせて復元したもよう。
2007年9月2日(日)の日本映画専門ch.HD放送開局特番の際に放送された劇場予告篇HD画質版は、おそらく上記クライテリオン再発盤(#52)のデュープ版マスターを使用したものだろう。
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●YOJIMBO & SANJURO
TWO SAMURAI FILMS BY AKIRA KUROSAWA
米国クライテリオン盤ブルーレイ
2010年3月23日 ボイジャー社
<Criterion Collection Blu-ray #52#53>
クライテリオン再発盤DVD(#52)と同じマスターを使用したと思われるクライテリオン盤ブルーレイ(国内のブルーレイプレイヤーで再生可能)。
再発盤DVDでは、適度なコントラスト表現が映像に心地よいアクセントを与えて、すこぶる高画質感を覚えたものだが、このブルーレイ映像はどうした事か?

マスターの問題もあるのだろうが、米国と日本のモニター等による視聴環境の違いを考慮しても、このギラギラするほどコントラストの強いブルーレイ映像はおよそクライテリオンらしくない。個人的にはこのぐらい明るい映像の方が好みではあるのだが、やはり明る過ぎではないだろうか。
ハイコントラストのクライテリオン版を視聴した後で、フィルムライクな東宝版を視聴すると、これがなかなかよく見えるから不思議なもの。
東宝版、クライテリオン版、日本映画専門CH放送版との画像比較はこちら→
パッケージやジャケットのデザインがDVDとまったく同じというのもいただけないが、特典映像等も基本的に上記クライテリオン再発盤DVD(#52)と同仕様となる。

映像/シネスコ(2.35:1)、チャプターメニュー、本編110分51秒(冒頭のクライテリオンマーク表示含む)
・現在視聴しているチャプタータイトル付のタイムバーを表示し、音声解説への切替とお気に入りのブックマークが付けられるTIMELINE機能付(ブルーレイのみ)
音声/UNCOMPRESSED MONO 1.0ch(ドルビーデジタルオリジナルモノ)・DTS-HDM PERSPECTA 3.0ch(オリジナル3.0chパースペクタ サウンド)・黒澤作品の研究家Stephen Prince氏によるコメンタリー収録
字幕/新英語字幕収録(ON/OFF可)

■特典映像 ※上記クライテリオン再発盤DVDと同内容
・AKIRA KUROSAWA: IT IS WONDERFUL TO CREATE(44分35秒)※SD画質
・劇場用予告篇(2分36秒)※SD画質
・特報(1分24秒)※SD画質
・静止画ギャラリー
※24ページブックレット封入(※上記クライテリオン再発盤DVD封入のものと同内容)(2010.09.12)
椿三十郎はこちら→
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VHS GALLERY
●東宝初版VHS
1983年<TG1108>
※22,000円
●東宝ハイビジョンマスター版VHS
1996年11月1日
<TG4786S>
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SOUNDTRACK-CD GALLERY
●黒澤明映画音楽完全盤 「用心棒」
佐藤勝 オリジナル・サウンドトラック
2002年 東宝ミュージック<AK-0006>

音楽テープとして残る「用心棒」の音楽を、映画で使用されている順にすべて収録した完全サントラ盤。解説書付。
「用心棒」の予告篇で使われている三十郎のテーマ曲となった原曲や、メインタイトル曲の別バージョンなどがボーナストラックとして収録。

※東宝DVDの映像特典「黒澤 明〜創ると云う事は素晴らしい〜」でも紹介されているように、三十郎のテーマ曲は、佐藤勝が黒部ダムの記録映画「大いなる黒部」のブルドーザーの作業場面のために書いた曲だったが、黒澤が気に入りアレンジしたもの。

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