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口八丁手八丁で調子良く、一見無責任男風だが、実は有言実行タイプのスーパーサラリーマンという、植木等のキャラクターをメインに据えた日本一シリーズ! |
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●結成50周年記念
クレージーキャッツ 日本一ボックス
<TDV16131D>2006年5月26日 |
日本一の色男/日本一のホラ吹き男/日本一のゴマすり男/日本一のゴリガン男
「日本一」シリーズ4作品収録のDVD-BOX |
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日本一の男シリーズ第1弾!「日本一の色男」
1963年7月13日公開 古沢憲吾監督作品(併映・喜劇駅前茶釜) |
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●LD<TLL2535>
1998年9月25日
※4ページ解説書封入、劇場予告編収録 |
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●日本一ボックス封入DVD
<TDV16131D-1>
2006年5月26日 |
●左右にも黒帯の表示されるフルシネスコ・スクイーズ収録(93分)
●劇場予告編 ●ポスター&ロビーカードギャラリー※文字が読めるように文字部分の拡大ができる
●解説書封入 ●チャプター付 ●日本語字幕付、オリジナルモノラル音声収録
●クレージー・ムービー:ロケ地探訪「大和証券編」
※東宝映画おなじみ東京八重洲の大和證券ビルを紹介したロケ地探訪収録。エントランスや屋上など映画本編と現在の様子を比較した約6分弱のオリジナルドキュメンタリーだ。
人工着色風のジャケットがいい感じだ。 |
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そして、ふと立ち寄った化粧品会社・ローズ化粧品(もうおなじみ八重洲の大和證券ビル)のセールスレディ募集に並ぶ行列を見かけると、光等は、これぞ天職とばかりに、契約セールスマンとして強引に入社してしまう。
営業部長、浦和(人見明)の「あのバカ…」*という言葉もよそにセールス仲間の"お金丸もうけ"の金山丸子(団令子)、女性代議士・権田原コチ(古いが、肝っ玉かあさん…京塚昌子)、新橋の芸者・雪桜(草笛光子)、銀座のバーのマダム・春子(白川由美)、やっぱりでた由利徹演じるスケベなズーズー弁社長の2号のナオミ(浜美枝)、チャーム・スクールの校長・道江(淡路恵子)といった東宝女優陣の微妙な女心を揺さぶりながら、あっという間にトップセールスマンに踊りでるのであった。
しかし、どうやら彼には、教師を辞めてまで大金を稼がなければならない恋人トシ子(藤山陽子)に関する、何か特別な事情があるようだった…。
*シリーズ常連の人見明が発する「あのバカ…」というのは、呆れ返ったお調子者で、とても常人には理解できない奴、という深い意味が込められている。シリーズ初のお言葉である。
劇中の「これからは責任時代だよ」といった光等の台詞や、彼が500万円という大金を貯金しなければならない理由などに、無責任イメージからの脱却を計ろうとする意図が大きくみえ、無責任キャラは、本作より、日本一の男キャラとして修正される事となった。
シリーズ次作「ホラ吹き男」「ゴマすり男」といった日本一シリーズの一、二を争う代表作と比べると知名度的には今一歩劣るが、「いょ〜しっ、やるぞ〜!」「出発進行!前進あるのみ」と全編に渡って自信満々に走りまくるそのハイテンションさは、本作の方が強烈。
白いスーツを着こなし化粧品を売りまくる植木等のプロフェシャナル・サラリーマンぶりや、大挙出演する女優陣なども、シリーズでも一番の華やかさだ。
また本作は、他シリーズ作品では味わえない切ないオチとなっているが、笠原良三の当初の脚本では光等のハッピーエンドで幕を閉じるはずだったという。
これは、女性にモテまくり、あまりにもスイスイと世渡りする光等への反発を恐れたプロデューサーからの強い要請によるもので、急遽、女性の方が一枚も二枚も上手だったというオチに変更されたものであった。
しかし、このシリーズの最大の見所は、植木等のこのスイスイ感こそにあり、またそれをいくらオーバーに演じてもイヤミにならない魅力が植木等にはあったのだ。
そう、実の所、観客は、この胸のすくサクセスストーリーに自分自信の姿をオーバーラップさせて観ていたのだ。そして、その魅力がさらに大きくはじける事になるのが、次作「日本一のホラ吹き男」であり、いよいよシリーズは黄金期を迎えるのであった。
●蛍の光〜
無責任経 |
卒業式に流れる"蛍の光"から、お経をイメージとした無責任経へと続くメドレーで、映画オリジナル曲。 |
●だめでもともと
●今日もやるぞやりぬくぞ |
満天の夜空に打ち上がる花火をバックに、巨大な白い一本道のセットで歌う「だめでもともと」。灯籠に照らしだされた夜の一本道を歩きながら唄う「今日もやるぞやりぬくぞ」。堂々として、かつコミカルな植木ダンスは、古沢憲吾監督の迫力に満ちたミュージカル演出と相伴って、有無を言わさない鬼気迫る名シーンとなっている。 |
●やせがまん節 |
"色男はつらい〜"の2番が歌われる。本来は「武士は食わねど高楊枝」的な男のやせがまんが切ない歌詞なのだが…。 |
●ギターは恋人 |
憧れていたディック・ミネ風に、気分良く二枚目路線で歌う植木等だが、作詞・作曲も植木等本人。やはり植木等の音楽的な才能は素晴らしい。 |
●どうしてこんなにもてるんだろう |
翌年の東京オリンピックに向けて新装された国立競技場で歌われる。レコード音源とはバージョン違いのメロディが新鮮だ。 |
●無責任一代男 |
三度目の登場「無責任一代男」。日比谷公園の噴水前で歌われるが、ハリウッドの正統的なミュージカルを見ているような演出だ。 |
●さのさ〜これが男の生きる道 |
銭湯の湯舟につかりながら、植木等が気持ちよく歌うメドレー曲。ちなみに、湯舟に向かって一番左にいる人物は中島春雄。言わずと知れたゴジラの着ぐるみ役者だ。 |
●いろいろ節 |
人生いろいろあるけど、人の器は決まってる。だから、そんな事はどうでもいい事だ。と、渡辺プロ社長、渡辺晋の口癖"いろいろ"をヒントに書き上げた青島幸男の達観した詞がお見事。 |
余談だが、ラスト近く、光等が女性陣を集めるホテル・ニュー・東京は、1982年2月8日に大火災を起こした東京赤坂のホテル・ニュー・ジャパンだ。(2005.05.22) |
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日本一シリーズ第2弾!「日本一のホラ吹き男」
1964年6月11日 古沢憲吾監督作品(併映・喜劇駅前怪談) |
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●LD<TLL2503>
1997年7月25日
※4ページ解説書付、予告編収録 |
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●日本一ボックス封入DVD
<TDV16131D-2>
2006年5月26日 |
●左右にも黒帯の表示されるフルシネスコ・スクイーズ収録(93分)
●劇場予告編 ●ポスター&ロビーカードギャラリー※文字が読めるように文字部分の拡大可能
●解説書封入 ●チャプター付 ●日本語字幕付、オリジナルモノラル音声収録
●東宝クレージー映画紳士録:「古沢憲吾監督」※古沢憲吾監督の人となりを紹介した約12分のオリジナルドキュメンタリー収録 |
→「日本一のホラ吹き男」ハイビジョン映像はこちら |
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病気も癒えて、ますます元気ハツラツな植木等。
同年10月10日開催の東京オリンピックブームに沸く日本を象徴するかのように、三段跳びのオリンピック候補選手として、「東京五輪音頭」を唄い踊りながら陸上競技場に登場する。(ちなみに植木等、当時39歳だが、若大将が在学していた京南大学のライバル校、西北大学の学生として登場する。(→若大将シリーズはこちら)
オリンピックイヤーを派手に飾るオープニングだが、"係長、課長、部長。ホップ、ステップ、ジャンプの三段出世…"という宣伝コピーにもあるように、どんな困難にもめげる事なく、ホラを吹くように大口をたたき、三段跳びの如く出世していくという有言実行タイプの男、初等(はじめひとし)を中心として物語は進んでいく(※クレージーキャッツのメンバーは谷啓、安田伸、桜井センリの3人しか出演していない)。
ホラ吹き男、初等(はじめ
ひとし)のキャラは、ビッグマウス、ホラ吹きクレイとあだ名され、自らを鼓舞させるかのようにKO予告をし、まさしくそれを実行して数々の伝説をつくりあげた不世出の偉大なるボクサー、カシアス・クレイ(※現モハメッド・アリ)
がモデルである。
近年の日本では、プロ野球の星野仙一、落合博満、水泳の北島康介、ロックアーティストの矢沢永吉など、壮々たる有言実行タイプの顔ぶれも思い浮かぶが、当時の日本では不言実行こそ日本男子の美徳のように思われている中、それを覆す初等は、無責任で調子いい植木等のキャラがあったからこそ、生まれるべくして生まれたキャラといえよう。
ホラ吹き等ノ助と異名をとった先祖・初等ノ助(はじめひとしのすけ)の三段出世の一代記に感銘を受け、自信のないホラはつかず、どんな困難があっても乗り越えていく初等の姿はまさしく、自分を追い詰める事によって逃げ道をつくらないという有言実行タイプの典型的な姿なのである。
本屋のオヤジをいつのまにか意のままに動かしてしまうという人身把握術に長けた初等のシークエンスや、強心臓ぶりを現す増益電気の入社試験のシークエンス(→詳細はこちら)などは、その古澤憲吾監督の豪快な演出により、ホラ吹き男、初等に一種のカリスマ性さえ感じてしまうほどだ…。
無責任男の調子良さに有言実行キャラが加わり、ここに日本一の男キャラは完成した。
どんな困難があろうとも悲壮感など微塵も無く、「ハッスルするなあ
チキショー!」とあれよ、あれよという間に成功していく姿は、まさに立身出世物「太閤記」のような面白さもあり、日本一の男シリーズの中でも一、二を争う傑作となった。
(※ちなみに、クレージー時代劇シリーズとして同64年10月31日「ホラ吹き太閤記」が製作公開されている)
(2007.12.08)
●東京五輪音頭 |
高度経済成長真っ盛りの日本の姿を象徴するのが、この植木ダンスと言っても過言ではない。この植木ダンスは、次作「ゴマすり男」でそのスタイルを完成させる。 |
●ホラ吹き節 |
西北大学のモデルとなった早稲田大学の大隈講堂の前にて撮影された。初等が、「さァーッ!いっちょう
ブゥワ〜ッといくかァーッ」とキャンパスを走り回りながら唄う。初代ウルトラマンのスーツアクター古谷敏が大学生役でチラッと姿を見せる※→詳細こちら。横浜三渓園で撮影されたラストでも、植木等が殿様に扮して唄う。 |
●私はウソは申しません |
桜並木の堂々たる一本道というのは、古沢憲吾監督お得意のシチュエーション。“誰かの文句じゃないけれど”と歌詞にもあるように、曲名は総選挙CMでの池田勇人首相の台詞で、当時の流行語との事。 |
●馬鹿は死んでも直らない |
“能ある鷹は爪隠す〜”という映画オリジナルのフレーズが挿入された事によって、馬鹿になれる者こそ大物というテーマが鮮明になった。またまた登場、おなじみ天才コメディアン由利徹演じる守衛とのかけあいの直前に唄われる。 |
●八木節
冷暖電球CMソング |
谷啓が発明した冷暖電球のテレビCMソング。民謡八木節の替歌 |
●学生節 |
ヒロイン可那子役の浜美枝と初等の西武園でのデートシーンで唄われる。ボートに乗る二人だが、浜美枝に進行方向とは逆にオールを焦がせたという古澤憲吾監督のエピソードは超有名。DVDの特典映像「東宝クレージー映画紳士録:古沢憲吾監督」で、古澤憲吾監督は一度言ってしまった事は間違っていてもそのまま押し通す所があったという、みや子夫人のインタビューから察すると、絵面が良かったからという理由だけではなさそうだ…)。 |
●世界は僕等のためにある |
こちらも西武園で撮影された。大きくて広いステージのような階段で、植木等がいかにも気持ち良さそうに唄っているが、階段途中でまったく後ろを見ないでジャンプしているのが凄い。 |
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→「日本一のホラ吹き男」ハイビジョン映像はこちら |
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日本一シリーズ第3弾!「日本一のゴマすり男」
1965年5月29日 古沢憲吾監督作品(併映・姿三四郎) |
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●LD<TLL2504>
1997年7月25日
※4ページ解説書付、予告編収録 |
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●日本一ボックス封入DVD
<TDV16131D-3>
2006年5月26日 |
●左右にも黒帯の表示されるフルシネスコ・スクイーズ収録(95分)
●劇場予告編 ●ポスター&ロビーカードギャラリー※文字が読めるように文字部分の拡大ができる
●解説書封入 ●チャプター付 ●日本語字幕付、オリジナルモノラル音声収録
●クレージー・ムービー:ロケ地探訪「ヤナセ編」
※後藤又自動車の外観と屋上は、おなじみ八重洲の大和証券ビルで撮影されたが、ショールームや店舗周りは、タイアップ先でもある芝浦のヤナセ本社で撮影された。
ロケ地探訪「ヤナセ編」で、現在のヤナセにロケ当時の名残が多く残っている事が紹介されるが、やはり時の移り変わりを大きく感じる。元気の源のようだった植木等もすでに鬼籍に入ってしまったが、映画の中では稀代のエンターテイナーとして永遠に残る。 |
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後藤又自動車(社名の後藤又は伊藤忠商事をもじったもの)への入社当日、前作「ホラ吹き男」そのままの強引なやり方が功を奏して、偶然にも車を売る事に成功する中等だが、すぐに自分が補欠社員であり、出世の見込みがまったく無いという事を社長から告げられてしまう。
一晩考えた中等は、でっかいゴマをすりあてて出世しろ!という父親の言葉を思い出す…。
そして、ここで白いスーツを着た植木等が、巨大なステージでダンスを踊りながら唄うという「ゴマスリ行進曲」のシーンが夢想という形で挿入され、いよいよゴマすりに開眼する事となる。
ニッポン無責任時代の「ハイそれまでョ」で確立した、宴会場が突然大きなステージに変わるという突然ミュージカルの手法は、本作で究極の完成型を迎え、このシーンを境に映画はガラリッと変わる。
初等から中等へ名前がレベルアップしたように、前作の「ホラ吹き男」に、「ゴマすり男」のキャラが加わり、映画はジェットコースターのように一気に転がっていくのだ。
日本一のゴマをすろう!と決意し、係長、課長、部長、専務、社長令嬢、大社長とターゲットを次々と変え、一気に出世してしまう「ゴマすり男」は、「ホラ吹き男」と双璧をなすキャラクターとなるが、上司の指示には絶対服従のいかにも日本的な会社組織を皮肉たっぷりに描いたシニカルな笑いは、シリーズ最高とも言われている。
カタコトの関西弁を喋る日系三世ジョージ箱田役の藤田まこと、有島一郎、人見明、南利明らの喜劇人はもとより、完全に日本一シリーズのマドンナとなった浜美枝、チャーミングな中尾ミエなど、その顔ぶれは目にも楽しい。
また、本作にはハナ肇以外のクレージーキャッツのメンバーは全員出演しているが、特に谷啓はノークレジットながらラストの白バイ警官として、かなりおいしい役どころで登場する。ちなみに高速道路上の引きの後姿は、当時植木等の付き人だった小松政夫ではないかとの噂もあるが、体形から見ても小松政夫とは思えない。おそらくスタントマンであろう。
さらにもうひとり、中等の大学の後輩役としてデビュー間もないザ・ドリフターズの加藤茶がノークレジットで出演。当時クレージーキャッツ人気絶頂期ではあったが、新旧交代という時代の波は次の人気者を静かにだが、確実に呼びよせていた。(2007.12.15)
●愉快だね |
冒頭、富士急バスから転がりでてきた中等が、陽気に唄うナンバー。躍動感をだす為に、常に画面上に誰かが動いていないと気が済まないという古澤憲吾監督だけに、植木等はとにかくやたら動き、走り、コケまくる。また、オープニングクレジットは空撮バックだが、酔ってしまいそうなほど画面がブレる。 |
●元気でゆこう |
後藤又自動車の屋上シーンで唄われる。サザンの桑田佳祐が敬愛の人とする植木等との共演を果たした、缶コーヒーワンダのテレビCFの合成シーンにも使われた。つらい時こそ元気をだそうという"前向き"がテーマの曲で、観ているこちらも思わず元気になるような明るいナンバーだ。植木ダンスには無駄な動きがまったくない。 |
●人生劇場 |
佐藤惣之助作詞、古賀政男作曲のド演歌。村田英雄の代表曲としても有名。"あ〜んな女に
未練はないが〜"と、眉子にビンタをくらった中等に合わせて2番の歌詞が唄われる。当時流行していた、トニー谷がソロバン片手に「アベック歌合戦」で唄った"あんたのお名前、なんてぇ〜の"も聞ける。 |
●ゴマスリ行進曲 |
「ホンダラ行進曲」「ゴマスリ行進曲」「大冒険」はクレージー行進曲3部作。萩原哲晶と青島幸男のゴールデンコンビによって創られた本曲は、画面分割・俯瞰撮影といった古澤憲吾監督おなじみの大胆なカメラワークと、コミカルでダイナミックな植木ダンスの融合により、日本を代表するミュージカル映画としても記憶される事となった。
へつらい媚びるみじめな印象を持つゴマすりに対して、まるでスポーツか、楽しいハイキングでもするかのように、"さあ、みんな揃って
楽しく元気にゴマをすりましょう〜ッ♪"と、誇らしげに唄う植木等。どんな事でも正々堂々と思いっきりやれば良いという、既成の価値観を根底から覆すそのパワーは、舞い上がる噴水、ドライアイス、光と音のカクテルといった巨大ステージ上の視覚効果と相見えて、まさにゴマスリ教の教祖様のようなオーラさえ感じる神々しさだ。 |
●お座敷小唄 |
和田弘とマヒナスターズ&松尾和子の驚異的な大ヒット曲(64年)の替歌。ドドンパのリズムに合わせて"一に六足しゃ〜七になり〜♪"とテンション高く唄っているが、歌詞の意味は不明。たけしが顔面マヒを患ったときの"マヒナスターズ"ギャグもあった。2001年1月に閉館した銀座東急ホテルがバックに見える。 |
●まけてなるかよ |
飛行機好きの社長令嬢へのゴマすりが高じてセスナ機を操縦するはめになってしまい、ボロをだしてしまった中等が、一発逆転を誓うべく調布飛行場で唄う。このあとすぐに、中等の運命を大きく変える事となるセスナ機のパイロット、日系三世のジョージ箱田(藤田まこと)が登場する・ |
●ゴマスリ節 |
「ゴマスリ音頭」「ゴマスリ行進曲」、そして「ゴマスリ節」。青島幸男のゴマスリに対するこだわりには愛情さえ感じる。ゴマスリ3部作の中では一番地味な曲だが、駒沢オリンピック公園をバックに中等が堂々と唄う。のちに歌詞が差し替えられて、ナベプロ系製作のテレビドラマ「おれの番だ!」の主題歌になった。 |
ちなみに、無責任シリーズ2作と日本一シリーズ第5作「日本一の男の中の男」まで、植木等の役名にはすべて名前にヒトシがついた。
さらに、前作「ホラ吹き男」で"名前は初等でも頭はグッと高等!"と語っていた初等(はじめひとし)は、本作「ゴマすり男」でも、中等(なかひとし)として"名前は中等でも頭はグッと高等!"と語る。黒澤明の「三十郎」シリーズと似ているが、こちらはすべて別人である。
無責任シリーズでは平均(たいらひとし)、源等(みなもとひとし)。そして日本一シリーズからは、光等(ひかるひとし)、初等(はじめひとし)、中等(なかひとし)、日本等(ひのもとひとし)、小野子等(おのこひとし)となる。
ちなみにシリーズ第6作「日本一の裏切り男」からは、名前にすべて日本がつき、日の本太郎(ひのもとたろう)、日本一郎(ひのもといちろう)※断絶男・ヤクザ男とも同名、日本兵介(ひのもとへいすけ)、日本一作(ひのもといっさく)となる。 |
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日本一シリーズ第4弾!「日本一のゴリガン男」
1966年3月16日 古沢憲吾監督作品(併映・何処へ) |
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●LD<TLL2536>
1998年9月25日
※4ページ解説書付、予告編収録 |
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●日本一ボックス封入DVD
<TDV16131D-2>
2006年5月26日 |
●左右にも黒帯の表示されるフルシネスコ・スクイーズ収録(93分)
●劇場予告編 ●ポスター&ロビーカードギャラリー※文字が読めるように文字部分の拡大可能
●解説書封入 ●チャプター付 ●日本語字幕付、オリジナルモノラル音声収録
●東宝クレージー映画紳士録:「人見明」 |
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DVDの特典映像には、現在も舞台等で活躍中の人見明のインタビュー映像が収録(16分35秒)。「僕が演っていいのか…?」と思ったという植木等とのシビレ節共演や、“バカ…”誕生秘話などを懐かしそうに語ってくれる。
さすがに、年齢を感じさせる風貌になってはいるが、老いてもなお変わらず、あの“バカ…”をカメラ目線で演ってくれるのだ。植木等の高笑いが、どこからか聞こえてきそうだ。
ジャケットの人見明は「ホラ吹き男」からのスチール。(いい味だしてます…)
日本一シリーズ第4作「ゴリガン男」とは…
LD封入解説書記載の「東宝プレス・シート
1966 2. NO.8」 迷解国語辞典 ゴリガン −語源考−
より一部抜粋
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1.「御利願」「強力願」(あて字)という関西のスラング、「ゴリガンでやったるで!」などと使われる。
2.「五里眼」千里眼ならぬ五里眼。千里眼よりも、より現実的に、目先がきき先手の打てる男の意味。
3.「Gori-Gun」ゴリラとガン(拳銃)の連結語。ゴリラに拳銃を持って立ち向かう勇敢な男。米国ではゴリラのような女房に、貧弱な一物(ガン)で挑む亭主をからかう俗語。
4.「合理化案」の略語。自宅待機など会社側の不況対策に応じるサラリーマンの処世法。
植木等の映画では、不況などゴリガンで突破と、頭脳をフルに回転させる、ファイトマンの姿が描かれていて参考になる。
5.「狐狸丸」 (ゴリは狐狸の東北方言なまり)。狐狸に化かされ、不老長寿の仙薬とだまされて丸薬を飲んだ所、自己催眠のおかげでスタミナがついたという東北地方の伝承民話。たとえ不可能な事でも、その気になればやって出来ない事はないという意味を指す。
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※「ウィキペディア」では“当時の資料によると、ゴリガンは名古屋のスラングだ”という記載があるが
、名古屋のスラングというのは間違いで関西のスラングではないだろうか…?
2005年に発売された「クレイジーキャッツ HONDARA(ホンダラ)盤」2枚組CD(→ジャケットはこちら)内の封入解説書には確かに名古屋のスラングという記載があるが、それ以外の手持ちの資料にはすべて関西のスラングと記載されている。(名古屋のスラングという記載のある当時の資料とは何だろうか?)
色男、ホラ吹き男、ゴマすり男に続く、日本一シリーズ第4作は、ゴリガン男!
頭の怪我の手術により、脳ミソがオーバーホールされ、100倍パワーアップした日本等(ひのもとひとし)は、統南商事に日本等課(ひのもとひとしか)を立ち上げ、ゴリ押し作戦ガンガンいこう!
と、その徹底した合理化主義とバイタリティで、何でも売りまくってしまうのだった。
会社の営業成績を一人でカバーしてしまう日本等に、石亀営業課長(人見明)と浅利営業部長(藤村有弘)も振り回されっぱなし。
そして、おやじ太鼓、進藤英太郎扮する左右山社長は、倒産寸前の借金だらけの会社を救うべく、最後のチャンスを日本等に託すのである。
…が、なんと、日本等は不況の会社を合理化すべく、会社そのものまで売っぱらってしまうのであった。
社長までをも、意のままにあやつる恐るべき男、日本等。
しかし、そんな彼にも、社長の娘百合子(浜美枝、今でいうツンデレ娘)との念願かなっての結婚後、唯一の欠点が発覚するのであった…。
ゴリガンという言葉を流行らせようとしたが、それほどの効果もなく、ホラ吹き、ゴマすりと比べても、いまひとつ知名度にかける本作ではあるが、古澤憲吾監督と植木等主演コンビ、円熟期の作品という事もあり、そのテンポの良さはシリーズでもピカイチ。
また、どんなものでも売りまくる奇抜なストーリー展開もユニークで、ついつい見入ってしまうという不思議な力を持った作品でもある。
賄賂や接待が大好きな市会議員、黒原を演じるのが、まさに適役の藤田まこと。
幼児言葉を使うコメディアン、「イヤ〜ン、イヤ〜ン」「これはえらいことですよ」のオールドファンにはたまらないルーキー新一の登場。そして、おなじみ人見明が大活躍する大宴会場の“シビレ節”など、見所も盛り沢山。
また冒頭には、工事現場から落ちてきた鉄骨が、日本等の頭を直撃するというシーンがあるが、古澤憲吾監督のこのショットがまた凄い。落ちてくる鉄骨を、植木等越しに真下から見上げるのだ。CGなど存在しないこの時代に、こういうアングルを撮ろうと思いつく古澤憲吾監督は、やはり天才に違いない。
営業マンの3分の一が自宅待機、そして希望退職を募っているという現状の社会情勢にも似たシチュエーションの中、とにかく元気ハツラツ!何事にもめげずに走り回る日本等。
こんなにうまくいく訳がないと、誰もがわかっているのだが、ハイテンションな日本等を見ているだけで、よ〜しっ、明日から俺も頑張ろうと、不思議とそんな気分になってくるのである。
見ているこちらも思わず元気がでる。これこそがクレージー映画の魅力!
そう、この閉塞感に満ち溢れた今こそ、見るべき映画なのである。(2009.5.12)
●遺憾に存じます |
冒頭、パチンコ店から登場する日本等が口ずさむ歌。"遺憾に存じます"は佐藤首相の国会答弁の時事ネタからなるもの。
当時、ギターの神様といわれた寺内タケシ編曲(演奏も寺内タケシとブルージーンズ)。
イントロはビートルズの「抱きしめたい」のパロディだが、寺内タケシのいわゆる三味線ギターが時代を感じさせる。 |
●何が何だかわからないのよ |
本作主題歌、劇中で2回唄われる。"ゴマすり女房に、ホラ吹き亭主"という歌詞は、日本一シリーズの前作までのタイトルをもじったもの。当時のプレスシートによると、当初の曲名は「日本一のゴリガン男」という映画のタイトルそのままだったようだ。 |
●シビレ節 |
船橋ヘルス・センター(現ショッピングセンター"ららぽーと")の大宴会場が突然ミュージカルになるというおなじみのシーン。植木等と人見明のデュエットによるノーテンキな踊りは、ある意味、本作のハイライトでもある。
名曲ともいわれているが、"じいさんも中気で〜"の歌詞が放送コードにひっかかり放送禁止(あるいは放送要注意楽曲指定)になった。その後"中気で"の音声部分を消去したり、"じいさんもあの世で"と歌詞を変更するなどの対応がなされたが、2005年1月26日にリリースされた祝・50周年「クレイジーキャッツ
HONDARA(ホンダラ)盤」2枚組CD(→ジャケットはこちら)にてアナログレコード以来、初めて、そのままの形で収録される事となった。(※歌詞カード上では伏せ字になっている)
当時のプレスシートによると、当初は「シビレっちゃう節」という曲名だったようだ。 |
●おてもやん〜
軍艦マーチ |
(役名が小熊というのも笑える)ルーキー新一のおもちゃ屋(マルキ玩具店)から仕入れた売れ残りの戦車を、日本等が国防隊に売りつけた後、突然、国立競技場に画面が移り、唄われる童謡の替歌。ここでも軍艦マーチのサワリが流れる。 |
●オモチャのマーチ
−戦争ごっこ |
「シビレ節」と同じく、大宴会場で唄われる。古澤監督が好きな威勢のいい軍艦マーチでは、ワイヤーアクションも見られる。 |
●いろいろ節 |
おもちゃの戦車の注文がバンバンくるようになり、ゴキゲンの日本等が社内で口ずさむ。 |
●山寺の和尚さん−
坊主丸もうけの歌 |
日本等が、墓地の移転を斡旋した檀家一行を仰々しく引き連れていくシーンで唄われる。お坊さん役でやっぱり左卜全が登場。 |
●柔 |
オルガモン商会で桜井センリとの将棋中、日本等が口ずさむ。 |
●さよならはダンスの後に |
オルガモン商会の浄水器を、プリンスホテルのレストランのチーフコック(田中邦衛)に売り込む日本等が口ずさむ。 |
●金比羅船々
(香川県民謡) |
市会議員、黒原の宴会上で流れるダンシングミュージック。 |
●水のファンタジー |
市会議員、黒原に上下水道処理施設の権利を斡旋してもらうために案内した浄水場(村山貯水池)にて、日本等が気持ちよさげに唄う"水"をイメージした曲。
だが、夜の接待を要求する黒原議員には、まったく効果がない…。 |
●だまって俺について来い |
会社の心配をする社員を横目に日本等が口ずさむ。 |
●女ごころの唄 |
銀座のネオン街で流しのギターが唄う。 |
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